100年ブランドを3つも抱える「アサヒ飲料」の絶好調が続く秘密

カンブリア人物①
 

発売から135年の「三ツ矢サイダー」、発売115年の「ウィルキンソン」、そして発売100年の「カルピス」、この誰もが知っている飲料を販売しているのがアサヒ飲料。この100年を超えるロングセラーブランドを3つ抱え、アサヒ飲料は2019年まで16年連続で販売数量増を達成している。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」は、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。競争の激しい飲料市場で成長を続けるアサヒ飲料の経営戦術を探る。

大人がハマるカルピス~再ブレイクの秘密

大阪府吹田市の「ららぽーとエキスポシティ」に大行列ができていた。その先で子どもたちが夢中になっていたのは「蛇口からカルピス」。カルピス今年が発売100周年。その記念イベントで、小学生以下の子どもたちに無料でカルピスを振る舞っていた。

メーカーが調べたところによると、全国民の99.7%が「カルピスを飲んだことがある」と答えている。ただ、少子化の時代にあってカルピスは売れなくなっているのではないかと思ったら、大人たちが買っていた。

特に最近、大人にうけているカルピスがある。かつてカルピスは、原液を水で薄めるのが当たり前だった。子供の頃、原液を入れすぎて叱られ、「もっと濃い味が飲んでみたい」と思った人も多いのではないか。そんな昔の夢を実現させたのが2016年発売の「濃いめのカルピス」だ。乳成分量がカルピスウォーターのおよそ2倍。その名の通り濃い味を楽しめる。発売3年で2億本以上を販売。200億円を売り上げ、大ヒット中だ。

一方、「カラダカルピス」は体脂肪を減らすことをうたった機能性表示食品だ。「カラダカルピス」に入っているのはCP1563株と言う新しい乳酸菌。「脂質代謝を活性化させることで、最終的に体脂肪を減らす作用が期待できます」(研究開発本部・松浦啓一)と言う。

メタボが気になる大人にとって魅力的なこの「カラダカルピス」も1億本以上、125億円を売り上げたヒット商品となっている。

こうした大人向け商品を中心にカルピスは現在、絶好調。この10年で販売量は1.5倍になり過去最高を更新、再ブレイクしているのだ。

群馬県館林市のアサヒ飲料群馬工場。朝8時、カルピスの工場に巨大なタンクローリーが到着する。運んできたのは殺菌加工をしていない絞ったままの牛乳、生乳だ。

その生乳からまず脂肪分を取りのぞき脱脂乳を作る。これを発酵させると酸味が生まれる。さらに砂糖を加え、2次発酵させると、あの甘酸っぱいカルピスになるのだ。発酵させる際に使っている発酵液の中には、酵母と独自の乳酸菌を組み合わせた通称カルピス菌が入っている。カルピスは牛乳を乳酸菌で発酵させた健康飲料なのだ。

カルピスの生みの親は明治時代に生まれた三島海雲。実は海雲がカルピスを発売した100年前からその打ち出しは変わっていない。当時のキャッチフレーズは「美味整腸」「滋強飲料」。おいしくて整腸効果があり、栄養のある健康飲料として売り出したのだ。

カンブリア人物②

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