大人スイーツ「バスク風チーズケーキ」が日本で大ヒットした理由

 

バスク風チーズケーキはいかにして日本に上陸したのか。その魅力はどこにあるのかを探ってみた。

ローソンがPB(プライベートブランド)「ウチカフェ」から、2019年3月に発売した「バスチー」は発売3日で100万個を突破。同社のスイーツ史上最速のペースで売れており、同年12月末までに、シリーズで3,600万個を販売した。

同社としては、2009年の発売5日で100万個を売った「プレミアムロールケーキ」以来にしてそれを超える、久々の大型のヒットとなった。なお、「プレミアムロールケーキ」は今では当たり前になった、コンビニスイーツというジャンルを確立させた記念碑的な商品である。

同社では18年より、スイーツ専門店でバスク風チーズケーキが人気になっていることに注目。実際に開発スタッフが、購入して食べたところ、今までのチーズケーキにない新食感の商品であると確信。

「ベイクドなのに中は滑らかで濃厚なチーズケーキ」というイメージを持って、本場のスペインとフランス、バスク地方を訪ねて食べ歩き、開発に活かした。

北海道産の生クリームやクリームチーズ、牛乳を主たる原料とし、何度も試作を繰り返して、焼き色がしっかり付き、なめらかな食感に仕上がる直火焼の製法に到達、発売にいたった。「バスチー」は1個1個のサイズが小さく、火の入れ方を工夫しないと焼き過ぎて風味を損なってしまう。そこが最も調整が難しいポイントであった。

製造は山崎製パンをはじめ、数社のメーカーが同じレシピでつくっている。表面と底辺にかかっている焦がしカラメルが、アクセントとなっている。

ローソンは昨年から、“新感覚スイーツ”と称して、「とろ~り」、「ぷるるん」など、毎日でもスイーツを楽しみたい甘党の人向けに、新食感のスイーツの開発に、継続的に取り組んできた。“新感覚スイーツ”はこれまで30品目ほどを出して、どら焼「どらもっち」シリーズが発売3ヶ月で約600万個、バターサンドクッキー「サクバタ」シリーズが発売2ヶ月で約300万個を販売するなど、全般にスマッシュヒットが続いて好評だが、「バスチー」シリーズは桁違いのビッグヒットだ。

「バスチー」がヒットした背景として、「プレミアムロールケーキ」の開発で磨いた、ローソンのクリームに対する絶対的な自信があった。

同社・広報によれば、「ローソンが出しているスイーツのクリームが、ペチャついておいしくない」といった顧客の声に発奮して、なんとかクリームの品質を認めてもらおうと頑張ってつくったのが「プレミアムロールケーキ」。生地が薄くて、クリームをスプーンで掬って食べる、独特なスタイルに注目が集まった。それ以来のクリームに対する知見が、今回も活かされた。

「バスチー」は、12月には初のリニューアルを行い、北海道産生クリームや卵黄を増量。配合や焼成の方法なども見直し、表面のベタ付き感を解消した。

また、昨年7月にナッツとクリームをトッピングした「プレミアムバスチー」、昨年12月には山盛りのクリームを降り積もった雪のように乗せた「スノーバスチー」を、期間限定商品として販売し、これらも好評だった。

ローソン スノーバスチー(期間限定、販売終了)

ローソン スノーバスチー(期間限定、販売終了)

なお、「ローソンストア100」からは、今年1月、バスク風チーズケーキをイメージした「ばすCHEESE」という商品が発売されている。近頃人気のバスク風チーズケーキの雰囲気を知りたいという、入門者向けにはいいかもしれない。

ローソンストア100 ばすCHEESE

ローソンストア100 ばすCHEESE

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