今も要職にある「実行犯」たち
【東京】は1面トップに2面の解説記事「核心」、4面に「手記の要旨」、31面社会面の記事まで。見出しから。
(1面)
佐川氏と国を提訴
自殺職員の妻 手記・遺書公表
森友文書改ざん「本省の指示」
「財務官僚 最後はしっぽ切り」
財務省、再調査せず 「新事実ない」
(2面)
改ざん指示 多くは今も要職
「主導」の佐川氏 遺族に謝罪なし
(31面)
どうか 真実を
森友文書改ざん 遺族が提訴
1人で抱え込んだ夫…「黒塗り」の死から2年
天の声 生々しく 赤木さん手記
uttiiの眼
1面は、トップ記事(本記)の下に、政府が改ざんの経緯などについて改めて調査をする考えがないことについて別建てで書いている。《読売》も、このように書くべきだった。
2面の「核心」は勘所をうまく捉えた記事になっている。まずはリードで、自殺した赤木さんが「最後はしっぽを切られる」と書き残していたことを取り上げ、これを「省の出先機関の職員が不正を強要され、追い詰められていく姿」とした上で、「一方で改ざんを指示した財務官僚の多くは、今も要職にある」と指摘。指示役も実行役も、自殺に追い込まれた赤木氏以外は、要職に就いてのうのうと暮らしているというわけだ。
このリードに対応して記事の冒頭には「理財局長は辞職、退官時は国税庁長官。理財局次長は横浜税関長。理財局総務課長は駐英公使…」と、財務省の茶谷官房長が参院財金委で読み上げた内容をそのまま引用している。また、記事の左肩には処分された主な財務省職員5名のフルネームと、処分の理由及び内容、現在の役職を一覧表にして晒している。タイトルは「「森友文書改ざんで処分された主な財務省職員」」とプレーンに書いてあるが、記者の気持ちは、全員の顔写真を添えた上で「公文書改ざん実行犯グループ」とでも書きたいところだっただろう。
さらに、最後段には、近畿財務局OBで、赤木さんの元同僚、田中朋芳さんの話が載っている。田中さんは「手記を読み、涙が出た。追い込まれてゆく中でよく記録を残してくれた」として、手記について「よもや怪文書と見なさないと思うが、政権がどう対応するか注目したい」と言っている。
【あとがき】
以上、いかがでしたでしょうか。赤木さんが残した遺書と手記のインパクトはかなりのものです。更なる情報、「二の矢」があるかないか分かりませんが、野党には追及を強めてもらいたいと思います。
近畿財務局OBの田中さんが言われるとおり、「よくぞ記録を残してくれた」と私も思いますが、しかし、赤木さんが自ら命を絶つのではなく、エドワード・スノーデンのような内部通報者になっていたらと思うと、残念で悔しい気がします。鬱病の発症に至るまで赤木さんが痛めつけられていたことに、改めて強い怒りを覚えます。
image by: Sasa Dzambic Photography / shutterstock