健康な若者が死に始めた。新型コロナ拡大のイタリアは日本の明日

 

自己申告書の内容の変化

自己申告書の内容が、日を経るにつれて変化が出ている。1回目は:氏名、誕生日、生まれた土地、現住所、身分証明書名とその発行日と発行官公名。3月9日発の首相令を承知している旨、外出理由(仕事、生活に必要、健康、住居への帰還の4択)、具体的な理由、当日の年月日、署名。

最終4回目では、自分の身分を記載の後、「新コロナウィルスに感染しておらず、クアランティンの行動制限中にないこと」「外出の出発地と目的地」、首相令の日付け(3月25日)、「該当州における特別対策を承知している(州の名)」、「違反した場合の処罰を承知している」が追加され、外出理由の4択の文が長くなり、「絶対的緊急性」の言葉が追加されている。

※ 編集部注 クアランティン(コトバンク)

さらに、具体的理由を書く項目には例文が追加され「……での勤務、医療検査、介護を必要とする者の付き添い、未成年者の付き添い、犯罪報告、海外からの帰還、他の特別な理由等」が追加されて、A4の用紙に一杯になっている。

感染者数が4桁の時は、周りに重篤患者も稀で自分ごととは思えず、「不要な外出はしないように」との自粛要請を守らない人が多々あり、感染増加が止まらなかったので徐々に厳しくして、ついに罰則まで追加する羽目になった。

ビデオで授業

当初は4月3日までの休校だったが、感染者増加が止まらず、学校がいつ再開になるのか見通しが立たないので、私が講師をするマンガ学校でも、ビデオチャット授業を公式に再開することにした。使用するプログラムは“ZOOM”。

ZOOM

3月最終週から「開校」ということになり、その10日ほど前にグループに分けてZOOMを使ったミーティングを行い、試してみた。プログラム自体は、自分のコンピューター上にあるファイルを全員の画面に提示できたり、「ホワイトボード」ツールで書きながら説明(タブレットがないときついけど)できたり、ほぼ教室でできることは可能。

ただ、ネット回線が弱い自宅からだと、私の声が飛んだりしてたらしい。今、誰もが家にいて、回線を使いまくってる状況だから、弱くもなるだろうね。グラスファイバーはまだだし。

ビデオチャットを使った授業やミーティングをする学校、企業は多いらしい。図らずも、今後の社会生活のあり方を示唆することになるかも。排気ガスまき散らかして移動しなくてもいいじゃん、ということで。

私の授業はまだなので、次回にその様子をお伝えできるかも。

困っている人々

私たちが住むのは郊外の元農家の家なので、農地が広く、屋外へ出ることができるので閉塞感はない。

でも街中のマンション住まいの人は精神的に参るのではと思う。特に狭いアパートで大人数の家族、小さな子どもがいる家庭の閉塞感は想像にあまりある。

ハッシュタグ「私は家に留まる(io resto a casa)、が出始めた頃はあまり話題にならなかったが、ここへ来て家族間や隣人間の諍いで、警察に来る通報が増えたそうだ。DVの被害者も閉じ込められて困っているのでは、と「ピンク電話(DV被害を相談する回線)」の責任者が言っていたのを読んだ。

一人暮らしの高齢者、小さな商店の経営者の困った話題が、ニュースになるようになった。シングルマザーで、ある家庭の掃除などで生活費を得ていた女性が「もうお金がなくて食べ物が買えない」と泣いていた写真が心に刺さる。

医療関係者も心身共に疲労が激しい。休日なく働き続け、特に重篤患者を担当する看護師で「何もしてあげられない」と涙する姿も印象的だ。ウィルスにかかっているのだから、誰の面会もありえない。

しかもウィルスが肺を直接攻撃するので、一旦肺炎になると呼吸困難に陥るまでの時間が短いそうだ。5日ぐらいで危篤に陥ってしまい「一人で死んでいくの……」といかにもやるせなさそうだった。

そして呼吸器が足らない。それを操作する技師も足らない。こんなに一度に同時に、それらが必要になることなどなかったのだ。まさに想定外。

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