パフォーマンスで励ましあい
皆で励ましあおうという動きも十分にある。高名な音楽家がYoutubeを使ってパフォーマンスをしてくれる。もちろん、この機会を待たなくても彼らの演奏を聞くことはいつでもできたわけだけど、この災難のためにわざわざ演奏をし、それが話題になれば、聞いてみようという気になる。
私個人の音楽の好みから外れるジャンルであるものの、名バイオリニスト、ウト・ウギ氏の音色は心に沁みる。音楽は奇跡だ、と思う所以でもある。以下のURLは氏がこの機会に演奏したもの。
チェロ、バイオリン、ピアノの三人がそれぞれの住まいからネットで繋がって
演奏。
3月13日、「午後6時に歌おう」と誰が言い始めたのか、フラッシュモブの動きが盛んになった。これはイタリア中。アパートのテラスから顔を出し、皆で歌う。国営放送RAIのニュースでも取り上げられた。
● Musica e cultura per l’Italia che resiste
ニュースでは「音楽は、ウィルスよりも感染力がある」と締めくくっていた。
ナポリではミンモ・アショーネという人が、テラスのモブをちゃんと指揮棒で指揮して話題になった。コーラスの人は五線譜を持ってて本格的。音楽をやってる人が多く住む地域なのかも。
● Musica e cultura per l’Italia che resiste
閉塞感を破るための動きはフラッシュモブだけではない。3月17日はイタリアの誕生日。大きなことができず、イタリア空軍のアクロバット飛行隊(世界唯一の10機編成)がインスタグラムにお祝いの写真を上げた。
南イタリア、プーリア州の小さな市の市長が、FaceBookのライブでプーリア名物の堅パン「タラッリ」の実演を披露した。市民を屋内につなぎ止めておくため、だそうだ。
笑いを誘うものもたくさん出ている。例えば「ちゃんと手を洗う歌」。「手を洗わなくちゃいけないよ、ダメだよ、もっと洗って。もう飽きた。じゃぁ、言えるだけの数字を言ってみよう、1、2、3。もう飽きたよ。じゃぁ動物の名前を言ってみよう、虎、虎、虎……」という具合。子供に聞かせて喜んで洗ってもらうためかも。
● Canzone da cantare per LAVARSI LE MANI ABBASTANZA
こちらは大人向け?コミックバンドが演奏し踊りながら「手を洗うのは20秒以上だよ。目や口や鼻を触るのはダメよ。握手はダメよ。そして1メートル以上離れてね。パーティなんてもってのほか。そして何よりも、絶対に家の中にいてね」と、感染を避けるための個人ができることを語っている。楽しくね。1分半ほどなので閲覧して見てくださいね。楽しい。
これは笑わすためではないんだけど、ちょっとした事故がウケた。教会でのミサはもちろん行われていない。ライブでミサを発信しようとした神父さん、操作を間違えてフィルターをつけてしまって可愛い神父さんになった。
● Coronavirus, sacerdote fa la messa in streaming ma attiva per sbaglio i filtri: il risultato
漫画家たちも色々描いてて、これは多すぎて紹介しきれない。同じマンガ学校で講師をするマウロさんの作品に代表してもらう。
男が二人、歩道を歩いている。それぞれマスクやマフラーで「武装」し、互いに横目でにらみつつ「何歩き回ってるんだよ、この風来坊!」
インスタグラムでうけた写真。題して「最初の幻覚」。薬局の看板「FARMACIA」の最初の文字が「B」になって「BARMACIA」に。イタリア生活に欠かせないBAR(エスプレッソをちょいと飲みに日に何度も通う。お酒を飲む店のことではナい)に行けない、イタリア人の気持ちをよく表してます。
これと同じコンセプトで、家人が止めるのを聞かずに外へ出るお父さん。ぐるっと回って台所の窓の外から「エスプレッソひとつ。」奥さんがすかさずコーヒーをソーサー付きで出す。窓枠をBARのカウンターに見立てているわけ。
グィッと飲み干した旦那は1ユーロを窓枠において、「ごっそさん」と言って去り、また玄関から入る、という動画を何種類か見た。
もはや誰が製作者なのかわからないけど、あちこちでシェされてるGIF動画。ジョン・トラボルタがコートを腕にかけてキョロキョロする場面で、GIFがたくさん作られてるけど、そのコロナ版。ジョンの後ろには何度も改定された自己申告書が。
外出禁止令が出て一日目のローマの様子はこちら。スペイン階段にはまだ観光客がいる。
● Italia “chiusa” per coronavirus, il primo giorno a Roma – Agora 11/03/2020
日本ではいろいろ法律的な制約が多くて、大胆に「都市閉鎖!」ができないようだけど、是非とも、皆様方におかれましては、イタリアやアメリカの様子を見て人ごとと思わずに、自己責任でできることをしてほしいと再々度おねがしいます。
- なるべく出歩かない
- 頻繁に手を洗う
- 粘膜から感染しやすので手で目、鼻、口を触らない
- 人との接触を避ける
です。
もう一度、この動画を。
さらに言いたい。既知のウィルスと性質が違うと思います。未知のエイリアンと戦う感じです。相手のことは何も知らない。だからこそ、「ウチらはあいつらと違う人種だからイタリア、スペイン、アメリカみたいにはならない」という漠とした安心感をもたずに、感染爆発した国の様子を見て正しく警戒していただきたい。
【Midori/マンガ家/MANGA構築法講師】 midoriyamane@gmail.com
● ローマでMANGA[153]緊急特番 ローマでコロナ
● ローマでMANGA[154]緊急特番 ローマでコロナ2
image by: Vlad Ispas / Shutterstock.com









