五輪と人命を天秤にかけたツケ。世界各国から日本へ届く厳しい声

2020.04.07
by MAG2NEWS編集部 NK
20200406kaiken01
 

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、安倍首相はようやく7日に「緊急事態宣言」を発出すると表明。しかし、世界各国からの声は厳しいものばかりのようだ。共同通信によると、韓国メディアからは「東京オリンピックへの未練を捨てられなかった」、アメリカのアジア外交専門家からは「(今夏のオリンピック開催をにらみ)感染リスクをできるだけ低く見積もってきた」などの声があがっており、世界から「オリンピックの影響で対策が後手に回った」という辛らつな意見が多く出ているという。


武漢から到着した女性の検査、国が断る

すでに日本国内で新型コロナウイルスの感染者が出ていた1月19日、中国・武漢から関西空港に到着した女性が新型コロナウイルスと疑わしい症状が出ていたという。診察した病院は厚生労働省に検査要請を出したが、これを受け入れなかったと共同通信が報じている。3月末になって冷蔵保存していた女性の鼻やのどの検体を検査すると陽性だったという。女性は関西地方を旅行したあと帰国していることから、新型コロナウイルスを拡散した可能性があるとしている。

もしも「感染リスクをできるだけ低く見積もる」という狙いで検査を拒否していたのであれば、国民を危険にさらす最悪の行為だが、厚生労働省は「当時は検査態勢や基準の整備途上で、できる限りの対応だった」としている。共同通信の取材を受けた「りんくう総合医療センター」は、「春節前に現場の声を受け止めてくれたら、もっと早く対策を打ち出せたかもしれない」と話している。

いまだに検査数が少ない日本

TBSニュースがまとめた各国の検査件数によると、人口100万人あたりの検査件数は先月29日のドイツで11127件、3日のオーストラリアで1917件、3日のイタリアで1482件、3日の韓国で8606件、2日のアメリカで3824件、3日のイギリスで2580件だったのに対し、3日の日本は311件と明らかに少ない。もっとも多いドイツと比べると、35倍以上の開きがある。安倍首相は「3月中に国内の検査件数を1日8000件にする」と述べていたが、これまで1日に4000件すら超えた日がない状態だ。

正確な感染者数が把握できない現状では「数週間後に医療崩壊を起こしているか判断ができない」ということから、在日アメリカ大使館は日本に滞在しているアメリカ国民に、直ちに帰国に向けた手続きを始めるよう呼びかけているとのこと。国際ジャーナリストの高橋浩祐さんがYahoo!個人に寄稿している。

米国大使館が在日米国民に自国への帰国を促すほど、日本は「危険な状態」になってしまったのかもしれない。

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