答えは、12時49分です。なんと、50分足らずで1滴で始まった水は、指数関数的に増えるとスタジアムを埋めつくしてしまうのです。でも、指数関数的増加が怖いのはこれだけではありません。もう一つ問題があります。では、スタジアムの93%がまだ水がない状態は何時でしょう?
答えは、12時44分です。
つまり、「まだスタジアムはほとんど空だ、客席にも届いていない」という状態から、たったの5分であなたの座っている最後部まで届いてしまうのです。つまり何がいいたいのかというと、「気づいた時には遅い」ということです。のんびりしていたり、助けを求めている間に、水はあなたを襲います。
コロナウイルスのR0は2~3と見積もられています。つまり、ここの例での1分が感染の1サイクルと想定したら、理論上はこの水滴よりもはるかに早いスピードでコロナウイルスは広がることになります。イタリアやスペインやニューヨークが「まだ大丈夫」なんて言っていた数週間後には医療崩壊に至るまでの状態になってしまったのは、この指数関数的な増え方に我々の頭も準備もついていかないからです。あなたはスタジアムで44分間、「何もおきないな、大丈夫だ」と思っていましたが、そこからたったの5分で状況は最悪になりました。
コロラド大学の物理学名誉教授だったアルバート・バートレット博士は、「人類の最大の欠点は、指数関数がどう動くのかを理解できないことだ」という言葉を残しています。全くそのとおりです。
ニューヨークの最悪な状態を繰り返さないよう、今こそ日本の皆さんも意識をしっかりともって感染拡大を防ぐ努力をしていきましょう。ということで、今週も皆さんが元気で過ごせますように!
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