渋沢栄一の子孫が不安視。コロナ禍が安心、安全、安定を崩壊する

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新型コロナウイルスの終息が一向に見えません。一部で解除された地域があるとはいえ、外出自粛が続き、自由な行動が制限される中で、私たちが真摯に考えなければならないこともいくつかあるようです。世界の金融の舞台で活躍する渋澤健さんがコロナ禍の現状を考察しながら、自由であることと、安心安全との関係について問いかけていきます。

プロフィール:渋澤 健(しぶさわ・けん)
国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。日本の資本主義の父・渋沢栄一5代目子孫。

安心、安全、安定にはらむリスク

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

緊急事態宣言が延長され、コロナ禍からの出口がなかなか見えません。毎年ゴールデンウイークは、混雑している高速道路、飛行機、新幹線などでうんざりしていましたが、ガラガラに空いている状態も不気味で落ち着きません。

一方、『足るを知る』という意味がわかってきたというポジティブな側面も感じています。

若い頃には魅力を感じることのなかった先代からの教えです。無いものを嘆くのではなく、有るものへの感謝こそが大事である、ということを日々実感しています。(もちろん、足らないを知る、も大事ですが!)

ステイホームとはいえ、一日中家の中に閉じこもっているのは心身の健康によくありませんので、人混みを避けて早朝に散歩することが私の日課になっています。緊急事態宣言が春であることに感謝。今は花が本当にきれいな季節で、心が和みます。

また、「誰一人取り残さない」世の中という理想にも心が和みます。しかし、こちらは春に咲く花のような当たり前の現実ではありません。

新型コロナウイルス感染によって生活が困窮する状態に陥る方は多く、また米国のような世界一豊かな国でさえ、重症者・死亡者の多くは低所得層です。当初はセレブなどが感染したのでウイルスは平等と言われていましたが、結果的には格差社会が顕著に現れることとなりました。

多くの方が困窮し、安心、安全、安定を求める声が各地から上がっています。政府はこの要請に応えなければなりません。

しかし、安心、安全、安定という切実な要望にはリスクがはらんでいるということも私たちは忘れてはなりません。

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image by: shutterstock 

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