渋沢栄一の子孫が不安視。コロナ禍が安心、安全、安定を崩壊する
忘れてかけている自由の意義
自由とは何か。新型コロナウイルス感染がもたらした地球規模的な危機に対して、憲法改正論争などの新たなルールづくりの前に、まずは日本人は自由の本質の問いに真摯に向き合うことが重要ではないでしょうか。
感染症は間違いなく、人類にとって驚異です。しかし、ウイルスを世の中から駆除することは不可能です。抑え込んだと思っても、いずれ、また異なるウイルスが出現するでしょう。人類の歴史とはウイルスなど感染症と共生してきた歴史です。
武漢の研究所から流出した説がありますが、ウイルスは自然の現象です。気温や海洋の水温もそうです。また、大地の森林や砂漠も、地球の様々な生命体も大きな自然の一部です。
人類がその自然を支配し、搾取してきたことで経済社会が発展してきたという側面は否定できません。その冒とくに、地球が「ノー」という強烈なメッセージを発したのです。
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人類は地球と共生する、サステナブルな経済社会を築く必要がある。そのような考えを持つ人が、今回のコロナ禍で増えたと期待しています。分断ではなく、共創する社会を私たち一人ひとりの英知から築かなければなりません。これからが、SDGs(持続可能な開発目標)の本番です。
□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □
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『渋沢栄一 訓言集』処事と接物
人はその心を自由に持たぬばならない。
心を寛くして物に屈託せず、
事に当たりて適当の智能を発揮するは、
心に余裕がなければできないことである。
切羽詰まった生活に陥って余裕がないときこそ、自由を自ら手放してしまうリスクが高まるということが、こちらの栄一の教えの行間から読み取れます。また、その心の余裕とは、前もって、リスクを直視し、対策の準備を整えることでありましょう。SDGsに掲げられている地球規模の感染症対策は対岸の火事の課題ではありません。
『渋沢栄一 訓言集』国家と社会
すべての人はその生存しつつある国に対し、
自然に固有の権利と義務がある。
この権利義務は、何人が付与し、
何人が命令するわけでもないが、
国民として生まれたその日から、
身近に付随しておるのである。
現在、日本のような近代的民主主義国家において、自由とは命を懸けて獲得するものではなく、市民に与えられた権利という考えが一般的だと思います。しかし、渋沢栄一が指摘するように、権利と義務は同じコインの表裏の関係です。自由を尊重しながら、安心・安全・安定な社会を継続するための義務とは何か。この問いを私たち一人ひとりが真剣に考えて実行しなければなりません。
謹白 渋澤 健
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