新型コロナは口実か。中国孤立化計画はトランプ再選で動き出す

 

米国の対中戦略

新型コロナウィルスの流行に米CIAが警告したにも関わらず、トランプ大統領が無視したことで、感染拡大した。これへの批判をかわすために、トランプ大統領は、中国のミスで米国の新型コロナ被害が大きくなり、真珠湾よりひどいことになったと、賠償を求めて対中強硬姿勢になっている。責任は中国にあるということだ。

この根拠として、トランプ大統領は新型コロナウィルスが武漢ウィルス研究所から漏れたと主張するが、米軍と米情報機関は証拠がないと、米政権とは立場を異にした。このため、ポンペオ国務長官も意見を変え、確証がないと言い始めた。

この対中強硬策で、トランプ支持率は45%に上昇したが、バイデン支持率に負けている。しかし、貧困白人の米国民は、フェイクであろうと中国が悪いというトランプ氏の意見に賛成のようである。支持に熱気もあるので、熱気がないバイデン氏より優位になっている。

トランプ大統領は、支持者の期待に応えるべく、中国に制裁的な処置を行うとしているが、何を行うのか検討中として、明らかにしない。

そして、元補佐官のマイケル・フリン氏を再度、安全保障担当の補佐官にするために、司法省は、フリン氏への起訴を取り上げた。対中強硬策を策定するために、フリン氏が必要だということのようである。

恐らく、対中政策で、バイデン対トランプの大統領選での戦いになるが、白人の民衆は、トランプの反中国の立場に賛成である。バイデン氏が中国融和政策であると、トランプ大統領の再選も見えてくる。

しかし、中国への制裁で、世界経済面で、どのような影響が出てくるのか心配であるし、米中貿易戦争になると株価下落になる。

トランプ大統領の対中制裁であるが、株価を下げるわけにもいかないので、どのような対中政策にするのか疑問がわいてくる。

事実、ムニューシン米財務長官とライトハイザー米USTR代表は7日夜、中国の劉鶴副首相と電話で会談し、米中貿易交渉の「第1段階の合意」履行を確認した。株価が落ちて、急遽電話会談を開いたようだ。

トランプ米大統領も、中国から世界への感染拡大について「中国が故意に起こしたとは思わない」と「第1段階」合意の履行で一致したのを受け、トーンを弱めた。

ということで、再選までは株価を維持するために、対中強硬の手を打てない。このため、再選後の戦略的な対中政策の策定が必要になっている。トランプ政権の2期目は、株価を気にしないで戦略的な取り組みをすることになる。

マイケル・フリンの戦略は、中国包囲網を作ることであった。中国孤立化戦略であり、日本が戦略を立てて、米国に進言していたことでもあるが、フリン氏の失脚で実現しなかった。

このコラムでも述べていた戦略であるが、トランプ大統領は、中国と貿易交渉で合意して、戦略的な中国政策を止めた経緯がある。このため、日本も中国との関係を再構築せざるを得なかったし、ロシアとの関係も宙に浮いてしまっている。

新型コロナウィルスの世界の状況

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによると、世界全体の新型コロナウイルスの感染者の数は、日本時間の10日午前6時の時点で400万4,224人となり、400万人を超えた。

国別では、アメリカが130万5,199人、スペインが22万2,857人、イタリアが21万8,268人、イギリスが21万6,525人、ロシアが19万8,676人などとなっている。ロシアの増加が目立っている。

また、死亡した人は世界全体で27万6,815人で、国別では、アメリカが7万8,469人、イギリスが3万1,662人、イタリアが3万395人、フランスが2万6,313人、スペインが2万6,299人などとなっている。英国の死者数が増加して、入院患者の30%が亡くなるという。

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