例えば「管理」と「監理」等、ビジネスの現場や日常生活で普段使いしてはいるものの、少々「紛らわしい言葉」の意味と違いを正確に把握しているという方、どれだけいらっしゃるでしょうか。今回の無料メルマガ『仕事のメール心得帖(無料版)』では著者の神垣あゆみさんが、混同しがちな「同じ読みでも意味が違う言葉」を取り上げ、その違いをわかりやすく解説しています。
言葉の違い 「管理」と「監理」
「管理」と「監理」。字面は異なりますが、意味の違いを理解できていますか?
「管理」は、人や施設、物などの保全や処理をとりしきること。「監理」は、物事を監督することという違いがあります。
元気でいるためには「健康管理」が、一定のクオリティを保つためには「品質管理」が必要です。企業には「管理職」がいて、「管理能力」が問われます。建物には「管理人」がいて、「管理費」もかかります。
一方、「監理」は物事を監督し、取り締まることなので公的な意味合いが加わり「設計監理」とか「電波監理審議会」のような使い方をします。
「管理」に似た言葉に「管轄」があります。国家機関などがその権限によってとりしきることやその範囲を意味し、「中国地区の管轄」「管轄外の業務」のように使います。
言葉の違い 「主幹」と「主管」
「主幹」と「主管」。この2つの言葉の意味、どう違うのでしょう。
「主幹」は、ある仕事を中心となって行い、まとめていく人。「主管」は、主導的な立場で、ある仕事を管理すること、または、それをする人。中心になってとりまとめや仕事をする人が「主幹」で、さらに大きな組織や団体などの管理や管轄をすることが「主管」といえます。
児童や生徒の教育のほか、校長・副校長・教頭の補佐も行う先生のことを「主幹教諭」といいます。そのほか「環境分野の研究主幹」「広報誌の編集主幹」のように役職を指して使われることが多いようです。
「主管」は、「○○協議会の主管事業」「△△連盟主管のイベント」のような使い方をします。「主管部署」「主管官庁」という言葉もあり、公的機関などで多く使われています。
「主幹」が中心となる人の役職を指すのに対し、「主管」は主に管理・管轄するところという違いがあるのではないでしょうか。
言葉の違い 「採決」と「裁決」
「採決」と「裁決」この2つの言葉の違いは、「採決」は、賛成か反対かを決めることで、「裁決」は、上位の人が判断して処置・処分を決めることです。
- 採決…強行採決、挙手による採決
- 裁決…議長裁決、裁決を下す
議案の可否を賛否の数で決めるのが「採決」で、会議などで使われるのに対し、「裁決」は裁判官や上役が、物事の良い悪いを最終的に決めることを指します。
関連する語として「可決」「議決」があります。「可決」は、議案を良いと認めて決定すること。反対語は「否決」です。
- 可決…強行可決、動議を可決する
- 否決…予算案を否決する
「議決」は、会議で決めること、また、決まった事柄。
- 議決…議決権、国会で議決する
条約といった承認案件には「議決」一般案件には「可決」を使います。
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