日本を代表する乳酸飲料といえば、ヤクルトとカルピスの2つを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。では、その製法や有効菌の腸への届き方の違いはご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『毎朝1分! 天才のヒント』では著者の倉橋竜哉さんが、そんな国民的乳酸飲料両者それぞれの「個性」を紹介しています。
比べてみたこと
カルピスは舶来の飲み物だと思っていた倉橋竜哉です^^;
「仏教用語がその名前の由来になっているのです」という話をしていたのは、今朝の話でして、ここ1週間ほど、朝5時会でヤクルトとカルピスの話をしております。自画自賛で面映ゆいのですが、「我ながら良いテーマの切り口をみつけたなぁ」と思っていまして…。
どちらも大正~昭和初期の同時期に生まれ、今でも愛され続けている国民的乳酸菌飲料であります。ヤクルト単体、あるいはカルピス単体の話でもそれはそれで十分に興味深いのですが、この2つを並べて比較してみると、両者の特徴がよくわかります。
まず創業者の2人。博士として研究者の王道を歩んだヤクルト創業者の代田稔。商人として七転び八起きで成果を掴んだカルピス創業者の三島海雲。
…2人とも「日本国民の健康のため」という高い志を持っていたことは共通していますが、その人生の歩みには大きな違いがあり、それが商品の個性にも現れています。
脱脂乳に菌を加えて1度発酵させ、それに甘みを加えて出来上がるのがヤクルト。それを更に発酵させる「2次発酵」を行いあの独特の香りと風味を出したのがカルピス。
カルピスの2次発酵のプロセスは、なかなか売れずに困っていた発酵させた脱脂乳をなんとか商品化したい!という試行錯誤と情熱の中から生まれた発見でした。
有効菌が「生きたまま腸に届く」のがヤクルト。殺菌され「死菌として腸に届く」のがカルピス。
ヨーグルトのエスペラント語「ヤフルト」が名前の由来となったヤクルト。創業者である代田稔が学者であったので、エスペラント語に馴染みがあったのだと思います。
カルシウムのカルと、サンスクリット語の仏教用語サルピス(熟酥)が名前の由来になったカルピス。創業者である三島海雲は、寺の住職の息子で自身も13歳で得度を受けています。
…話し始めるとキリがないのですが、創業者の人物像、商品、会社の沿革など2者を比べてみるとその特徴がよくわかります。どちらも長年愛されてきただけあって、それぞれの良さや興味深さがありますね。
何かを学ぶ時、なにかをより正確に理解しようとするときに「比較」をすることってよくあると思います。「インドは人口が多い国だ」と言われても、あまりピンときませんが、「インドの人口は日本の10倍だ」と言われるとちょっと理解しやすくなりますよね。
私自身、取材に行って初対面の人をインタビューする時に、よく「比較」の質問をします。「なぜあなたは上手くいったのですか?」と聞いても「運が良かったから」「たまたまです」など、ぼんやりした答えが返ってきますが、「あなたのように上手くいく人と、そうじゃない人の違いはどこにありますか?」と聞くと、上手くいったポイントを整理して答えてくれることが多いです。
人間ほど「比較」が好きな動物は他にいないでしょう。時にそれが過剰な劣等感や優越感を生み出してしまい、弊害になってしまうこともありますが、知的探求を深める中で比較という「思考のものさし」を持っておくのは、とても有効であります。
これをお読みのあなたは、何かを比べてみたことはありますか?今学んでいることを、他の何かと比較してみると、より深く理解することはできないでしょうか?
★まず私からあなたにこの言葉をお届けします
「比べてみたことはありますか?」
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