瀬戸際どころか崖っぷち。追い詰められた北朝鮮の「異常な行動」

 

ボロボロの北朝鮮経済

中央日報6月25日に、興味深い記事が出ていました。北朝鮮経済が、相当厳しいという内容です。一部抜粋します。

北朝鮮の経済構造は毎年、無煙炭輸出10億~13億ドル、衣類委託加工輸出7億ドル、海外派遣労働者賃金3億ドル、水産物輸出1億5,000万ドルなどで構成されている。こうして稼いだ外貨で生活必需品の輸入にともなう20~30億ドルの貿易赤字を埋め合わせてきた。だがこうした金脈が完全に干上がってしまった。昨年12月には9万人の海外派遣労働者が送還された。北朝鮮は「研修」「留学」を名目にして再び中国やロシアなどに派遣したが、新型コロナウイルスはこうしたルートさえもふさいだ。新型コロナにともなう国境閉鎖により中国人観光客の足が途絶えたのも致命打だった。中国は120万人ほどの観光客を北朝鮮に送り、最大3億6,000万ドルの収入を与えてくれた。こうしたドル箱がすべて遮断され北朝鮮は禁断症状に苦しめられている。

「制裁効果=制裁の強度×時間」だ。国連安全保障理事会は2016年の4度目の核実験以降四重の制裁網を順に張っていった。対北朝鮮制裁もこの法則により時間が過ぎるほど北朝鮮の首を絞め上げている。すでに北朝鮮の輸出は壊滅的打撃を受けた。これに対し輸入は生存のために小麦粉、砂糖、食用油などの生活必需品を買い入れ続けるほかない。これにより対中貿易赤字は昨年23億7,000万ドルに増え北朝鮮が保有する外貨は枯渇している。
(同上)

つまり、長期化する制裁で、北朝鮮経済はかなり厳しかった。そこに「新型コロナ禍」が加わり、壊滅的状態になった。もちろん、この記事だけで、「絶対そうだ」とはいえないでしょう。しかし、ここに書ききれないさまざまな情報が、同じような結論を出しています。

最近の北の異常な行動の理由はなんだったのか?「韓国を脅迫することで、経済支援を引き出しかった」のでしょう。しかし、韓国が強気な態度だったので、脅しをやめた。つまり、トランプ政権のやり方は、「間違っていなかった」ということです。

北朝鮮の末路

これはどうなるか、正確に予測できる人は、世界に一人もいないでしょう。クーデターが起こるか、革命が起こるか。金の心が折れて、「完全非核化後の制裁解除」に同意するか?やぶれかぶれで、暴発するか?

現時点では、わかりません。

しかし、金王朝の終焉が迫っていることは、間違いない気がします。結局、拉致被害者が戻ってくるのは、「金王朝が崩壊した後」ということになるでしょう。

image by: Alexander Khitrov / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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