自分の価値を上げるか下げるかは時間の使い方次第
たとえば、これを自分が買う側になって考えてみましょう。
カローラの中古車を売りたいと思っている人がいます。その人が「この車は僕が10年間愛着をもって乗ってきたものなので、200万円で買ってもらえませんか?」といったら、どうでしょうか。市場価格が仮に50万円だとしたら、4倍ですよ。中古車なら25万円がいいところかもしれませんね。
逆に、中古車でも価値があると認められると、値段が大きく上がることがあります。
昔、僕はミニクーパーというクラシックカーに乗っていたんですけど、Yahoo!オークションでミニクーパーを12万円で買ったんですよ。
それが今では同じ車種が300万円で取り引きされています。ちゃんとメンテナンスがされていれば、古ければ古いほど価値がつくものもあるんですよね。
中古車と言うカテゴリーで見たら同じなんですけど、クラシックカーとかヴィンテージ物と言うものは時間とともに価値が上がるじゃないですか。
人間も一緒です。時間と一緒に価値が上がれば高く買ってもらえるわけですが、時間とともに劣化していたり成長していなかったら、その劣化した時間の中で成長していなかったら、それを高く買って欲しいと言われても無理な話じゃないですか。
だからもし今クビになってしまったと言う人がいたら、根本的な問題は自分の能力不足だと思うんですね。それが専門的なスキルなのかベースのスキルなのかはわからないですけど。
もし専門性に欠けるのであれば、もう一度専門性を磨き直す必要があります。また先ほどお話ししたベースとなるスキルで欠けているところがあるのであれば、ベーススキルをもっと磨く必要があります。
コロナをきっかけにそこを見つめ直すだけで大きく変わります。
今このタイミングで仕事がなくなったと言う人は、本当に会社が潰れてしまったと言うのであれば別ですよ。そうじゃなくて、会社が傾いた。その時に2ヶ月ぐらいですよね。最初のこの2カ月間で仕事がなくなると言う人は、自分のビジネス能力を疑うことから始めた方がいいと思います。
ハーバード大学から学ぶ「知的謙遜」の重要性
僕は、ハーバード大学の研究の話がすごく印象に残りました。
ハーバードの研究員になるとき、まず初めに「知的謙遜」について習うそうです。何かと言うと、「自分は思っているほど優秀ではない。頭は良くないかもしれない」。と言う前提に立って研究しなさいと言うことなんです。私はできる子だと思ってしまうと、人の意見を聞かないじゃないですか。
「人は不完全で間違いを起こすことを受け入れ、客観的に物事や自分自身を見る」「新しい文化やアイデアに出会った時、頭から拒否するのではなく、まずは試してみることが大切」
「私はできない人間かもしれない」「私は間違っているのかもしれない」と100%否定する必要は無いんですよ。不健全な自己指定をする必要はないので、いいんですけど、知的謙遜、健全な自己否定と言うのは必要です。
そうすると人の話もしっかりと聞けるようになります。
このハーバード大学の話であるように、1回立ち止まって自分の価値観や考え方を疑ってみる。それをちゃんとした方が人は成長します。
成績が高い者ほどよく伸びる「ダニング=クルーガー効果」
僕の本にも書いたかもしれませんが、「ダニング=クルーガー効果」という認知バイアスがあります。これは、能力や成績が平均点より高い子点数をとっている人ほど自己評価が低く、逆に、平均点より低い点数をとっている人ほど自己評価が高いんですよ。
だから、何が起きるかと言うと平均点より下なんだけど、自分はもう済んだもんだと思ったら勉強しないので、さらに成績は落ち込んでいきます。
「自分はもっと頑張らなければいけない」「平均点よりも高いんだけど、もっと頑張らなければいけない」と思っている人の方がさらに上に行きますよね。
こういうタイミングでクビになる人はどういう人かと言うと、ある平均点に対して下にいる人なんですよ。もしくは、会社が期待している期待値よりも下なんですよ。なんだけど、本人は自己評価が高いんですよ。これが問題なわけです。だから1回、自己評価をもしかしたら思っているほど高くないのかもしれないぞと一度考えたほうが物事はうまくいきそうな気がしますよね。
自分の実力をもう一度セルフチェックしてみることが大切です。正しい評価をすることが大切です。
「insight(インサイト)──いまの自分を正しく...