もしコロナ禍で地震や水害が起きたら?マンション住民の心構えは

 

ところがです。コロナ禍で、感染防止のため集会室の使用を制限し、住戸への家族の出入りにも気をつけている状況で、果たして、このような避難がうまくいくか…なやましいところです。昨年の台風時には、戸建て住宅が多い地域に建つマンションには、マンション住民それぞれの知り合いの戸建てに住む家族が、何組も避難してきたと言います。コロナ禍の最中の今年でも、そういったことが、昨年と同じようにできるでしょうか。

水害だけではありません。大震災に見舞われた場合にどう行動するか…という震災対応マニュアルには、感染症対策までは深く考えられていません。3密を避ける、ソーシャルディスタンス、大きな声を出さないなんて言っていたら、マンション内での対策本部や避難所の設置、各住戸への声掛けや助け合い、炊き出し等、すべてが回らなくなってしまいます。どういたらいいのか…という質問を受けますが、答えに窮します。

その辺をどう思うか、フォーラムで意見を聞きました。そうしたら、かなり明確な声を複数いただきました。マスクや消毒に気を付けるのは当然だけど、あとは、もうコロナのことは考えない。助け合うことを躊躇しないことだ…と。実際に、マンションで防災対策の最前線にいる役員の方の言葉は心強かったです。非常時には、「万が一、感染が広がったら…」と何もしないのが、一番問題です。覚悟を決めて、やれることを、精いっぱいすればいいんだ…と、思いました。

でも、いざとなると、感染を心配して、その対応を批判する人が出てくることは想定されますので、事前に、コロナ禍における災害対応の基本方針を住民に伝え、それを理解してもらい、自分たちでできる備えをしてもらうように働きかけることは、必要かも知れない…と思いました。

また、できることなら、1カ所に集まらなくても、遠方に避難していても、情報を交換したり、話し合いができるように、コロナ禍の今がチャンスですから、オンラインで話ができる仕組みをつくっておくと、災害発生後の合意形成に力を発揮すると思います。

人が直接接しなくては助け合えないところは、できる対策をしたら、あとは、あまり気にしないで実行する。直接接しなくてもできる部分には、オンラインを活用していく。コロナ禍における災害対策に関して、今は、そんなことを考えています。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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