たとえ相手に非があったとしても、その部分を責め立てたり否定してばかりでは、円滑なコミュニケーションは望めません。さらにそんな姿勢は、自分をネガティブな方向に引っ張る可能性すらあるものです。思い当たる方にお勧めしたいのが、心理カウンセラーの吉田こうじさんが無料メルマガ『東北の人気メンタルトレーナーが送る『自信をはぐくむ、幸せな自分のなり方』』で紹介している「肯定話法」。吉田さんは今回、ご自身も驚いたというその効果を記しています。
前向きな自分になる技術
振り返ると、「あの瞬間から人生が変わった」という経験はありませんか?特に後ろ向き(ネガティブ)で、批判的な自分から、前向き(ポジティブ)で建設的、創造的な自分に自然となっていた…。こんな経験ってありませんか?
僕の経験でいうと、会社員時代に営業の仕事をしていたのですが、その頃は本当にコミュニケーションがまるでダメダメで…。例えばお客さまには、「この書類では受付できません」「ここの記載箇所が間違っています」などと、何かと否定的な表現ばかり使っていたせいで、仕事がうまくいっていなかった時期があります。
「サービスが悪い!」とクレームを言われたとしても、「だって、何回説明してもお客さまが理解してくれないんです。間違って書類を提出してきたお客さまの方が悪いんです!」などと、自分のことを棚に上げて他責にしてばかりいました。
でも、あるとき、いやいや参加させられた研修で、「肯定話法」という練習をさせられました。それは「~のせいでできません」ではなく「~になればできます」など、「できる」ことを前提にした表現にするというものでした。「書類が間違っているから受付できません」ではなく、「書類のこの部分をこういうふうに訂正していただければ受付が可能です」みたいな感じですね。
最初は「どうして間違いを指摘しちゃダメなんだ?」「悪いのはお客さまの方じゃないか」などと、かなり不満があったのですが、そもそもお客さまを不快にすることをしていて仕事がうまくいくはずがないくらいのことは理解していたので、仕方なく、渋々、練習をしてました。でも、実際、現場で活用してみると、肯定的な表現をした方が、圧倒的に相手は受け取ってくれやすいし、聞き耳を持ってもらいやすくなることを実感したのです。
表現の仕方を、否定形から肯定系に直すというたったこれだけのことで、相手の反応がガラッと変わるという経験を通して、正しい知識と技術を知らないことの恐ろしさを実感するとともに、僕自身の学習意欲に火がつきました。
実際、この研修に参加したことが、僕がネガティブ思考からポジティブ思考にシフトチェンジする大きなきっかけになったことは間違いありません。というのも、相手に対して肯定的に表現しようとするには、まずは自分が否定的な思考を肯定的に変えていく必要があったからです。言い換えるなら、「自問自答のやり方」を変えたと言ってもいいでしょう。
それまでの僕だったら、「どうしてこの人は理解してくれないんだ?」「どうして俺が怒られなきゃならないんだ?」といった「どうして?」という原因追求型の自問自答ばかりでした。起きたことを分析し改善するための原因追求であればいいのですが、僕の場合は「他責にすることが目的」だったり「現実逃避することが目的」で原因追求思考を無意識の習慣にしていたのです。
でも、肯定話法を教わってから、原因追求型の思考の習慣をできるだけやらないようにして、その代わりに「どうすれば次はうまくいくだろう?」といった未来解決思考型の自問自答を癖つけるようにしました。
この思考の転換は、そのあとの僕の人生を大きく変えていきました。たとえば…
これまで→
「上司はどんな面倒臭い仕事をふってくるだろうか?」
「どうしていつも俺にだけ面倒臭い仕事を言いつけるんだ?」
変化後→
「面倒臭い仕事がふられたとしても焦らず取り組むためには、今のうちに片付けておいた方がいいことは何か?」
「とりあえず後回しにしておいた経理伝票の整理と日報だけは今日中に仕上げておこう。そして、もしも面倒臭い仕事が来なかったら、今日はさっさと切り上げて彼女と飲みにでも行こう」
こんなふうに、ちょっとだけ自問自答する際の質問を「未来解決志向」に変えるだけで、心構えや行動も変わります。それによって気分はもちろん、人生が大きく変わることは少なくありません。
「普段、自分で自分にどんな質問を投げかけてるのか?」
この答えは、あなたが想像している以上に、あなたの人生をいい方向にも悪い方向にも大きく左右する原因を生み出しています。
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