■進行役の役割
報告・検討事項として、パワーポイントの資料が用意されていました。A氏が、Zoomの「共有」機能を使って、参加者全員に資料を見せようとします。ところが、A氏はうまく表示をさせることができません。Zoomの「共有」操作に慣れていない様子です。「使用機材の操作が分かっていない」ことで、会議の進行がとどこおります。A氏は何度も操作をやり直して、ようやく資料を見せることが出来ました。
「機材の操作」では、別のトラブルも発生します。会議中に参加者のパソコンやスマホから、余計な音が入ってしまい、会議の邪魔です。参加者の何人かが「ミュート(消音)」にしていないので、家族の声やTVの音が聞こえてしまいます。これでは、会議に集中できません。
そうならないためには、進行役のA氏かB氏が、参加者の音声を「ミュート」に切り替える必要があります。もしくは、発言者以外はミュートにするよう、あらかじめ伝えておくことです。これも進行役のミスといえます。
さらに会議は進み、A氏から「提案事項」の説明があり、「決議」に入ろうとしました。しかし、参加者の一人から異議がでます。「決定をするには拙速にすぎ、もう少し討議を重ねる必要がある」という意見です。A氏にとっては予想外のことのようでした。この場で「決定」に持ち込みたいとの気持ちが強く、強引に進めようとします。
これはいけません。関係者との意見のすり合わせが出来ていないようです。
結局、「決定」は持ち越されましたが、参加者の皆さんはこの議事進行を見て、少しつらい気持ちになったのではないでしょうか。
その後、A氏はいくつかの提案をしていきますが、どれもあまりうまく進みません。「話が横道にそれてしまう」こともあります。この状況で司会者のB氏は何をしているのでしょう。B氏は提案や議論をうまくまとめて、会議をスムーズに進めていくのが仕事です。「進行役」の役目がいかに大事かということがよくわかりました。
この90分の予定だった会議は2時間で終わることになります。まさに、うまく行かない会議の典型のようでした。そして、会議にはいかに「事前準備」が重要かということを思い知らされました。
あなたも会議を開くときは、念には念を入れて事前の準備をしましょう。
■今日のツボ■
・会議の進行がうまく行かないのには、理由がある
・会議は進行役の能力に左右される
・会議の成否は「事前準備」にある
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