アルコール消毒の盲点。衛生管理のプロが教える手指殺菌のルール

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新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、皆さんの職場でもさまざまな対策が取られていると思われますが、見落としているポイントはないでしょうか。今回の無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』では著者で衛生管理のプロでもある川岸宏和さんが、今一度確認したい点や「明確にすべきルール」について考察・指摘しています。

食堂の利用について

食堂を利用するときの服装は、「作業着のまま」「私服に着替える」のどちらで運用していますか。工場で製造している物の衛生度によりますが、スライスハム工場、生ケーキ工場のように、作業着から細菌汚染すると、日持ちに影響を与える製品の場合は、私服に着替えるか、包装室専用の作業着に、包装室に入る時に一般的な作業着の上に更に包装室用の作業着を着ている場合は、食堂の利用は、一般的な作業着のままで利用することになります。

食堂に入る前に、手を洗う設備がありますか。トイレで洗った後であっても、食事の前に手を洗うことが、感染症を防ぐ第一ハードルになります。従業員自身の身を守るために、食事の前に手を洗うことを徹底して教育する必要があります。

食品工場に出勤してくるときには、手ぶらが原則ですが、給食設備の無い工場の場合は、仕出し弁当などで、家庭から弁当を持参させることは、異物混入対策、感染症対策上は、止めるべきです。

食事は、必ず、箸、フォーク等を使用し、パン、せんべいのように素手で食べる事は避けるべきです。

飛沫感染、空気感染の可能性のある感染症を防止するためには、換気が必要です。換気は定期的に行うのでは無く、空気の流れを作り、下から上に向かって空気が流れるように、吸気、排気を考えるべきです。

一般的な、工場の食堂には、厨房にダクトが設置され、排気を行っていますが、吸気を考えられているところは、少ないものです。吸気は、排気の対角線上の下から入れることで、食堂内の空気は、常に流れることになります。換気を充分に行うと、クーラー、暖房の利きが悪くなる場合は、ロスナイ換気の検討が必要になります。

食事の終了時には、机の上、椅子の手の振れる部分を殺菌することを習慣にすることが大切です。

休憩時に、雑誌、新聞などを設置している工場もありますが、共通で、手の触れる物は、無くするべきです。就業規則、ルールブックなどの教育資料も、電子化し、新聞、雑誌も電子化した物を、タブレットで利用できるようにし、タブレットは、使用前後で、殺菌する習慣が必要です。

くしゃみをした手から感染する

レジで考えれば、手から手に渡る物を少なくすることが大切です。レジに並ぶ前に、お客様がくしゃみをし、くしゃみの時点で手の平で口を押さえていたとすると、手のひらは汚染されてしまいます。かご、商品、お金などお客様と同じ物を触った時点で感染が広まる事になります。少しでもお客様と同じ物を触れないようにすることが大切です。

現金のやりとりを無くする。感染症対策として第一歩として始めませんか。クレジットカード決済なら、決済装置にお客様自身でカードをスキャンしてもらうようにする、バーコード決済でも、決済装置に直接かざしてもらうことで、共通で手に触れる行為が少なくなります。

○○ペイの支払いは、レジでの支払いが面倒なので、嫌がる方が多いです。スイカなどの決済は、現金、クレジットカードよりも早いため、使用する方も多くなってきています。お客様の便利性を常に考えた上での、決済方法を進めてほしいものです。

あなたの事業所の自動販売機は、現金では無く、ICカードになっていますか。現金の回収、おつりの準備などが無くなり、業務改善にもつながります。スイカなどでオートチャージを利用すれば、カードに残金が無く、飲み物が購入出来ないと言うことも無くなるはずです。あなたの事業所の自動販売機は、スイカが使えますか。

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