安倍首相に「8月24日辞任説」なぜ美しい国、日本がコロナ蔓延国に?

 

PCR検査は多いほどいいのか?

PCR検査をどのくらいまで増やせばいいのかという問題は、どこでも議論になっている。多ければ多いほど陰性か陽性かがはっきりさせることができるだろうと思うのは素人考えで、その国ごとの感染状況や、とりわけ上述のような第1~第3のどの段階での戦いが焦点となっているかによって解は異なる。

その前にまず、コロナ禍関連のデータを毎日更新しているサイトである「worldometer」で、8月15日現在の「人口100万人当たり検査数」を東アジアの主要国について見てみよう。左端の「順位」は同指標による世界ランキングを表す。右端には参考までに「感染者総数」を示しておく。

● 原データ:COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMIC

 順位  国名      検査数  感染者総数

 

  14  シンガポール  275,089  55,580
  70  中国       62,814  84,808
 107  韓国       32,673  15,039
 129  フィリピン    17,994  57,918
 145  タイ       10,730   3,376
 152  日本       8,760  52,217
 175  台湾       3,545    481

シンガポールは、人口当たりの検査数では群を抜いて多いが、それで感染者数を抑えられているかというとそうでもなく、フィリピンや日本などとほぼ同じレベルの5万人台である。これは、数を増やせばいいというのではなく、どの段階でどれだけタイミングよく検査を広げたかということこそ問題であることを示唆している。

また中国は、世界最大の14億4,000万人の人口を擁しているというのにこれだけの人口当たり検査数を達成し、しかもこの程度の感染者数で抑えているのは立派というほかない。5月中下旬に武漢市民990万人全員に検査を行い300人が陽性だったと発表するというメリハリの効いたやり方が、人々に安心を与えている。

逆に、台湾は検査数が世界最低レベルと言えるほど少なく、それでいて感染者総数もまた極端に少なく、つまりは抑え込みに成功している。検査については実は台湾でも議論があって、4月末~5月上旬に国民党の韓国瑜=高雄市長が全国民に検査を実施すべきだと提唱し、それに対して民進党政権の陳其邁副首相らは「感染者数が少なく、なおかつこれまでのところ陽性率が0.7%と低い台湾の場合はそうする意味がない」と反論した。

台湾は、第1段階から第2段階の入り口あたりで歯止めをかけることができたのでそれでいいのだが、日本の場合は、第1段階も第2段階も突破されてあれよという間に第3段階まで達してしまったため、本来なら都市封鎖、補償付きの休業命令、内外移動の強度の制限などに踏み切らなければならないところ、上述のように「命より金」の邪念にとりつかれているので、そうはならない。この段階で防衛線を張るには、せめて検査を米ニューヨーク州のように「誰でも何度でも無料で」というふうにしなければならないが、それも厚労省=国立感染研究所の権限意識が壁となってままならないのが実情である。

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