安倍首相に「8月24日辞任説」なぜ美しい国、日本がコロナ蔓延国に?

 

「日本モデル」の成れの果て

思い出すのも恥ずかしいが、5月25日の記者会見で安倍首相は「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います」と大見得を切った上で、全国的に緊急事態宣言を解除した。結果的に見ればとんでもない大嘘だったわけで、この「日本モデル」の根幹にある「命よりも金」――感染を徹底的に止めることよりも経済活動を止めないことを優先するという意地汚い思想が、世界の人々の眼前で破綻したのである。

台湾の場合は、第1段階の水際での食い止め策が機敏かつ非妥協的で、国内での感染拡大が小規模なものに止まった。その上、第2段階としてのその小規模拡大に対する検査・隔離もまた徹底していたために、その段階で流行を封じ込めることができた。

韓国の場合は、第1段階での防御には失敗したものの、大邱市の新興宗教団体の信者全員の検査・隔離を1カ月かけて完遂したことが示すように、第2段階で検査数の増大、専門病院・隔離施設の建設など圧倒的な物量を集中的に投入して抑え込んだ。中国も似た形である。

あまりに酷い、コロナ対策の迷走ぶり

それらと比べると日本は、まず第1段階の水際作戦がズルズルで、例えばダイヤモンド・プリンセス号の乗客で陰性が確認され帰宅が許された者が横浜港から自由行動で、中には公共交通機関を利用して帰った者もあったことが、台湾では驚きを以て報じられ「ホトケ防疫」とまで揶揄された(野嶋剛『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』=扶桑社新書、20年7月刊)。ホトケの原語は「仏系」で、もっと露骨には「ゆるふん」という語感である。

しかも、第2段階を「クラスター対策」というそれこそ日本独自のモデルで潰そうとしたが、クラスターが大規模化し、感染経路不明者の割合が増えるにつれ手に負えなくなって、第3段階の営業停止、都市封鎖などの強硬手段に訴えるべき状況に突入してしまった。そこで「命より金」の思想が立ちはだかり、制御が難しくなった。

それでもこの道を突き進むしかないという政府の姿勢を示したのが無理やりの「Go To トラベル」スタート。その模範を自ら示そうとして安倍首相は、毎年恒例の山口県への里帰り・墓参り、後援会の人々と共に花火大会を楽しんだり、夏休みの残りを山口湖の別荘でゴルフとバーベキュー三昧に浸ったりしようと計画したのだが、小池百合子=東京都知事に都内在住者は「旅行や帰省はお控えを」とクギを刺され、渋谷区富ヶ谷の自宅で昭恵夫人の顔を見て過ごすしかなくなった。

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