夏の食中毒対策。「消費期限切れ」より怖い「消費期限内」の罠とは?

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暦の上では暑さが収まり始めるという「処暑」を過ぎたとはいうものの、相変わらず命にかかわる暑さが続く日本列島。食中毒に気が抜けない日々も継続中ということになるのですが、どのような食品であれ、消費期限内であれば無条件に口にしても危険はないのでしょうか。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では、著者で科学者のくられさんが「食中毒の真実」を記すとともに、キッチンの衛生状態の重要性を強く訴えています。

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賞味期限がある限り大丈夫なわけではない

前回、前々回と消費期限と賞味期限について話をしてきました。

似て非なる消費期限と賞味期限の違いや、期限切れ食品の中で起きる微生物の繁殖、そして病原性細菌と非病原性細菌などなど…この辺の振り返りは、以下のポータル記事をご確認ください。

● 第1回:消費期限と賞味期限の違い
● 第2回:期限切れ食品の中で起きていること

さておき、締め括りとなる今回は、これまでのことを踏まえた上で、より生活に密着する感じで具体的に食品の取り扱いについて気を付けたいことを解説していこうと思います。

端的に言えば「消費期限切れてないからセーフセーフ!」などと思うべきではない、ということ。消費期限を過信していると食中毒を起こすこともあります。

つまり陳列されているときには大丈夫だったものが、持ち帰る間、または家での保管状態の悪さで劣化し、それを消費期限内だからと食べてポンポンを痛めてしまうことです。

消費期限というのは適切な冷蔵などの保存がしっかり行き届いた上での話。スーパーで、買い物かごに精肉を入れて、そのまま延々と立ち話をしているご婦人などもいますが、食品衛生の観点からするともってのほか。常温放置は非常によくありません。

特に夏場は精肉、魚の類いは保冷剤や氷があれば入れた方が無難です。高級食材を買っても、持ち帰る途中に劣化してしまっては意味がありません。暑い時期は生ものは保冷剤なしで20分以上放置しないように心がけておくようにしましょう。

冷蔵庫の温度設定、そしてなにより冷蔵庫の衛生状態にも気をつけましょう。家は綺麗でも冷蔵庫の中が汚い人は結構居ます。理想は1ヶ月に1回は中の死蔵品をチェックするつもりで清掃。それが難しいなら、3、4ヶ月に1回は総点検を含めて、徹底的に掃除しましょう。

1リットルの水道水にハイター系漂白剤をペットボトルのキャップ1杯いれたものを消毒剤として、キッチンペーパーや清潔なぞうきんにつけて徹底的に拭き掃除をします。手荒れを起こさないように手袋はしておきましょう。

冷蔵庫の掃除は、汚れが固まっていることが多いので、そういうものはお湯に食器用洗剤をとかしたものをキッチンペーパーにふくませて汚れに乗せておけば綺麗に落とすことが出来ます。

ガスコンロやレンジ周りの洗浄スプレーなどもうまく活用すれば衛生的に冷蔵庫を保つことができます。

オーブンやレンジの中、炊飯器がガビガビ、不衛生になっている人も珍しくありません。料理が終わったら、キッチンを片付ける時にその辺も気をつけるようにしましょう。

キッチン全体の衛生状態を良くすることは、重要で「食の安全」というレースはスーパーなどの販売店だけでなく、調理場であるキッチンもまだレースの途中であるということです。

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シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

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【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

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