賞味期限と消費期限は何がどう違う?科学者に聞いてみた結果

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食品売り場で商品を手に取った時、まず目をやるのが賞味・消費期限の日付という方も多いかと思われます。ではその「賞味期限」と「消費期限」の違いはご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で現役科学者のくられさんが、両者の違いをわかりやすく解説するとともに、店によってお刺身の鮮度が異なっていたり、妙に油臭いコロッケが売られているウラ事情を記しています。

消費期限と賞味期限の違い

食品に印刷されているものは、商品名、キャッチコピー、彩り豊かなイラストそして食品ラベルだけでなく、もっと地味に刻印されているもの…そう、賞味期限です。ものによっては消費期限と書かれています。

今回はこの消費期限と賞味期限について、これらの言葉の裏側、誰がどういう根拠で保証しているのか?まずはそれを見ていきましょう。

消費期限と賞味期限

消費期限と賞味期限。どちらも同じ言葉のように思えますが、食品衛生法で運用法が異なっています。

まず消費期限は、弁当、精肉、生菓子、生麺類、パン等、製造日を含めて5日以内には悪くなってしまう食品に印刷されるもので、適切な冷蔵状態が維持された状態で、かつパッケージを空けていない状態でその期限以内に食べる限りでは安全に美味しくいただくことができます…という意味です。

当然、猶予期間は設けてあり、消費期限を1分1秒越えた時点で急激に腐り出すわけではありません(笑)。

冷蔵庫の中で日付を超えただけで即座に捨て出す人もいますが、冷蔵庫の温度や、冷蔵庫の衛生状態(冷蔵庫が不衛生な人も多い)諸々を含めて余裕をもって決められています。逆に言えば夏場、カンカン照りの中1時間くらいぶらぶらして持って帰った生ものは、再度、冷蔵庫に入れてもアウトな状態になっていることは珍しくありません。

猶予期間は食品によってまちまちです。

賞味期限というのは、インスタント麺やスナック菓子、レトルト食品などに付けられるもので、法的には「定められた保存方法であるかぎり期待される品質が十分のもの。ただし該当期間を超えた場合があってもこれらの品質が保持されていることがあるもの」という「ただし」が付いています。

ようするに、何時何時の期限までは保証しますが、とうめんの間、食べる分には特に問題はないですよ…というユルめの品質保証となっています。

この厳しさや緩さはどこからきているのでしょうか?

熟成と腐敗と細菌

それは細菌です。無菌の食品なんてものは存在しません。真空パウチにいれて、人間が1,000回くらい被爆死するくらいの放射線(通常、滅菌に使われる放射線はγ線)で滅菌でもすれば完全無菌の食品を作ることはできるでしょうが、そんな危険な行程をすべての食品に行うことなどできません。

基本的にどんな食品にも、衛生的に徹底管理していても雑菌はいます。逆に細菌の管理さえできれば食品の劣化というのは、生肉であっても相当遅くなります。実際に高級牛肉の多くは、無菌化した冷蔵庫で2週間、長いものでは1ヶ月以上「熟成」させたものが流通しています。

衛生管理が徹底した食品工場であってもホコリなどの汚染物を100%ゼロにすることは困難ですし、作業員を全員、無菌服に着替えさせて、肌の露出を一切ゼロにする、致死性ウイルスを取り扱うくらいのボディースーツを着せて作業させるのも無意味です。そもそも大半の食品自体に菌はどこからともなく入り込んでいるからです。

賞味期限・消費期限は、食品中の細菌が食品自体に悪影響を及ぼすまでの時間という意味合いがあります。

これらの期限は食品ごとに法律で決められているわけではなく、製造者が、材料の鮮度や加工時の衛生状態、そして保存状態などから、ガイドラインに沿って設定されています。故に食品のラベルには製造者という形でなんらかの名前が入っているわけです。

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