救った命は7,000名。なぜ心臓外科の名医は医療現場に立ち続けたのか

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これまでに7,000人以上の子供たちの命を救い続けてきた天才小児心臓外科医、高橋幸宏氏。困難を極める手術の成功率、実に97.8%という高橋氏ですが、「徹底してこだわらなければいけないこと」があると言います。何よりも患者さんのためという、そのこだわりとは?今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』で、高橋氏ご自身が語っています。

手術成功率97.8%、小児心臓外科医の流儀

国内トップレベルの小児心臓外科医として知られる榊原記念病院副院長・高橋幸宏氏。約35年間に救った子供たちの命は7,000名。手術の成功率は97.8%に及ぶといいます。

高橋氏はどのような思いで医療現場に立ち続けたのか。そして、これから何をめざすのか。


小児心疾患は種類そのものに加えて、他の臓器の合併疾患も多いです。それぞれの疾患に合わせた多くの手術の種類があり、また、同じ疾患であっても症状の発現時期によって別の手術が求められたりと、難易度は個々の子によって随分と異なります。

──高橋先生はそういう中で97.8%という高い成功率を誇っていらっしゃいます。

小児心疾患の手術は、例えば心臓の穴を閉じる、狭くなったところを広げる、血管を繋げるという一つひとつの手技の組み合わせです。複雑になればなるほど、その組み合わせをいかに完璧にやれるかがまず求められます。

手技を磨くことに対して後輩をかなり厳しく指導していますが、同時に大切なのはやはり時間なんですね。

心臓手術は心臓を止めて行います。ここには心筋保護液という薬液を用います。大体20分間隔で液を入れながら手術をするのですが、注入している間は執刀医の手が止まることになります。したがって、20分間にどこまで手技を進めるか、そして再度心筋保護液を注入して次の手技に移るか、そのような感覚が外科医には必要です。

ボクサーの3分間の時間感覚と同じなんです。これを僕は「間」と呼んでいますが、「間」を最大限生かし、20分間ごとに停滞しない手技の流れをつくることが侵襲を抑えることになるわけです。

最も原始的なようですが、特に小児心臓外科医は時間短縮に徹底してこだわらなくてはいけません。当院では他のご施設と比較しても半分から3分の1の時間で手術を行いますが、それは何よりも患者さんのためなんです。

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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