“菅総理”リーク情報と13年前のウソ。自分の歴史まで修正する安倍の虚言癖

 

…そんなわけで、恒例のツッコミはこのくらいにして、最後にサラッと「ポスト安倍」について触れますが、あたしが何よりもおかしいと思ったのは、このタイミングで「ポスト安倍」を選任するという異常な流れに、誰も疑問を持たないという点です。首相が病気などで職務の遂行ができなくなった場合は「副総理がその任を引き継ぐ」という規定があるのですから、総裁選など行なわずに、自動的に麻生太郎副総理が首相を引き継ぐのが普通です。

今回の総裁選は「なるべく政治空白を作らないめ」などとモットモらしい理由をつけて、全国の自民党員の投票を行なわない流れになっています。もちろんこれは「石破茂排除」の一環ですが、本当に「なるべく政治空白を作らないめ」と思っているのなら、総裁選など行なわずに通例に従って麻生太郎副総理にバトンタッチすれば良いだけの話なのです。

それでも強引に総裁選を行なおうとしているのは、水面下で決まっている「菅義偉総裁」、そして「菅義偉首相」というシナリオが、いかに民主的に選出されたのかという演出のためなのです。今回、選任される次期総裁は、自民党の看板として来年9月までに総選挙を戦わなければなりません。それなのに、通例に従って麻生太郎氏を後継者にしたら、自民党にとっての悪夢、2009年の「下野(げや)」が繰り返される恐れがあるのです。

今回、安倍首相は「8月24日に辞任を決めた」と述べましたが、実際には7月下旬から辞任を想定しての後継人事に動いていたと見られています。安倍首相も当初は、副総理である麻生太郎氏に「自分にもしものことがあった場合の引き継ぎ」を打診したようで、それが8月7日だと言われています。8月6日と9日は広島と長崎での原爆慰霊祭があるため、無理をして7日に時間を作ったようです。

8月7日、数日ぶりに午前中から官邸に向かった安倍首相は、わずか9分間の閣議後、麻生太郎氏とだけ長時間の面会をしているのですが、この時に安倍首相は自身の状況を伝えた上で首相の引き継ぎを打診したそうです。しかし、総選挙の重責を担うことを嫌った麻生太郎氏は、年齢などを理由に断ったそうです。

そして「終戦記念日」の8月15日、この日は午前から千鳥ケ淵戦没者墓苑や全国戦没者追悼式など、安倍首相はとても忙しく疲れも溜まっていたようですが、午後、渋谷区富ケ谷の私邸に戻ってから、麻生太郎氏を私邸に招き、午後2時半から3時半頃まで1時間ほど密談をしています。私邸でも、食事会などで複数人を招いて数時間を過ごすということはたまにありましたが、何かの打ち合わせをするために相手を私邸に招くというのは、異例中の異例です。

こうした流れの中で、麻生太郎氏の代わりに菅義偉官房長官を後継者にすること、そのために総裁選を演出すること、石破茂排除のために党員投票を行なわないことなどが打ち合わせされたと見られています。

そして、8月28日の午前、安倍首相はわずか14分の閣議の後、麻生氏、財務省の太田充事務次官、矢野康治主計局長と面会したのですが、13分ほどして太田氏と矢野氏を部屋から出し、麻生氏と2人だけで35分間、面会を続けました。ここで最終的な打ち合わせがされたと見られています。そして、この日の午後5時から辞任会見が行なわれました。

すべて「だそうです」「と見られています」という書き方で申し訳ありませんが、ここに書いた内容は、官邸に太いパイプを持つ知り合いの記者からの伝聞なので、このような書き方をしました。そもそもは安倍首相と麻生太郎氏の2人だけの面会での話ですが、全体の流れは側近などから周囲に漏れていたため、一部には割りと早い段階から「後継者は菅義偉官房長官」という情報が流れていたそうです。ジャーナリストの田原総一朗氏は、まだ菅義偉氏の名前が出る前に、ラジオで「次は菅さんです」と躊躇なく断言していました。

(『きっこのメルマガ』2020年9月2日号より一部抜粋)

image by: 首相官邸

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