武田教授が断言。能力主義の今より「昔の日本」が幸せだった理由

 

能力がある人? それともお金持ち? 人間が持つ「本当の価値」とは

日本人の生活はごく最近まで、2000年前と同じように「全員が同じ生活」でした。それを「一億総中流時代」と言ったのです。世界的には特別な社会でした。他の国の会社は「株主のもの」でしたが、日本の会社は「従業員のため」に活動しました。だから、日本の会社には「社員の運動会」がありましたが、欧米では「そんなのは個人の自由の制限だ」と正反対の考えだったのです。

「会社が大切」「社員旅行」、そして「年功序列」などはヨーロッパかぶれの人たちから激しく批判され、今では会社は株主のものとなり、社員(正式には従業員)は非正規、ブラック企業、うつ病、自殺などの問題を抱え、同僚との和気あいあいとした職場、生涯の友人も消えました。そして、「能力と強く結びついている賃金」になったのです。

「能力があるものが高賃金」というのは一見すると良いように思いますが、日本の文化ではありません。それは「人間の価値」という基本的な考え方によるからです。

日本以外の他の国は、「能力のある人が価値がある」と考えましたが、日本は「人間は誰でも同じような価値がある。でも能力のある人はちょっとだけ尊敬しよう」という風に「人の価値」について決定的な違いがあるからです。

現在の私たちは、ヨーロッパの考え方に影響されていますから、「若くても能力がある人は偉い」と考えていますが、日本の考え方は「能力がある人を認めるのは良いが、人間の尊さは人柄の良さ、年齢なども重要だ」と考えたのです。だから、会社に長く務めた人を少し高く評価しても良いと思ったのです。

私は科学者ですから、やや欧米の考えに親しみを持つのですが、人間というものについては決して「能力があるから立派な人間」とは考えてはいません。私の経験ではむしろ「頭が良かったり能力が高い人は自分勝手」という感じを持っています。目上の人は尊敬して丁寧に接しますし、収入によらずその人の人格などを重視します。その点では、私は「年功序列」や「会社で一緒に努力しよう」というのが良いと思っているのです。(メルマガより一部抜粋)

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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