菅首相の“恨み”と6人任命拒否。日本学術会議への敵意の正体とは?

takano20201005
 

「安倍政権の継承」を明言する菅首相は、その独善的な性格までしっかり受け継いでいるようです。菅首相は5日、日本学術会議の推薦候補6人の「任命拒否」問題について「任命は総合的・俯瞰的活動を確保する観点から判断した」と説明しましたが、各方面から批判の声が上がり、秋の国会の焦点になるとの見方も出ています。これに関してジャーナリストの高野孟さんは、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』の中で、今回の問題の背景には学術会議そのものへの安倍・菅両政権の敵意があると分析。その敵意のキッカケとなった同会議の「声明と報告」を詳しく紹介しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2020年10月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

年内総選挙はなくなり、年明け早々もできるのかどうか?――学術会議を敵にするようでは政権安定もおぼつかない

菅政権発足当初に政界雀が囀っていた「年内、それも10月早々の総選挙」説は、早くも消え去った。菅首相自身が、10月17日の内閣・自民党合同の中曽根元首相合同葬とたぶんその前のベトナムとインドネシアへの初外遊、11月中下旬の立皇嗣の礼などの日程を次々と繰り出して、はっきりと打ち消した形である。

発足時に支持率が75%にも達していたのに何故?というのは素人政談で、第1に、本誌No.1064(9月14日号「菅義偉新首相と検察が裏取引?『安倍夫妻は不問に』談合政権の行く末は」)が明快に指摘していたように、その数字には「あの鬱陶しい安倍前首相がようやく辞めてくれてよかった」という妙なご祝儀相場が含まれていて、必ずしも菅首相への積極的な評価や期待ばかりでないことは自明だったからである。

いずれも厳しい選挙予測

その証拠に、第2に、その後に現れた選挙プロたちの次期総選挙予測は、どれも菅首相に有利な数字が出ていない。『週刊朝日』10月9日号「12・6衆院選?注目58選挙区を大予測/菅自民24議席減」では、角谷浩一氏が自民党現有284に対して11減の273議席、野上忠興氏が24減の260議席と予測。『サンデー毎日』10月11日号「菅政権が圧勝できないカラクリ/秋解散総選挙全予測」では、三浦博史氏が自民11減を予測している。

11減くらいであれば、単独過半数(233)はもちろん、全常任委員長を独占し全委員会の過半数を握る絶対安定多数(261)をも確保することができるので、政権運営には何の心配もないが、24減となると絶対安定多数は確保できず、またたぶん公明・維新と合わせても改憲発議に必要な3分の2は確保できなくなる。

では、第3に、少し先延ばしして来年1月早々に通常国会を招集し冒頭解散というのはどうか。政界雀たちは永田町ご町内の事情だけで物事を判断するので、その場合に選挙は1月中で終わって月末からは例年通り予算案の審議に入れるので国民生活に影響は少ないと言うのだが、そんなことはない。そもそも年末年始のその頃にコロナ禍そのものがどうなっているかは誰も読めないし、その影響による中小企業や商店・飲食店の倒産が激増している可能性は高く、その最中に国民の暮らしの上での切実な欲求とは何の関係もない、菅首相が自分の政権基盤を固めたいという自己都合のためだけの解散を打って国民に投票所に足を運ぶよう強要することなど、できるはずがない。

まあ、それは常識論にすぎず、菅首相は権力を振り回すこと自体に喜びを感じる独裁者ぶりっ子なので、何をするか分からない。だから3:7ないし4:6ほどの確率で来年早々解散の可能性はあるだろうが、その場合は上記の現時点での予測よりももっと自民党が票を減らすのではないか。

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