問題は水害による稲作被害が甚大であり、国民に食べさせる「食糧」不足=配給不足の問題をいかにして解決するかであるが、穀倉地帯である黄海南北道や江原道、それに咸鏡南道など東海岸側の稲作地帯やトウモロコシ地帯での被害が大きく、北朝鮮の「食糧飢餓」は現実のものとなりつつある。
このような事態に、北朝鮮に食糧を援助できる(しなければならない)国は韓国だけである。“ヤクサクパルン”金正恩が自己のメンツを捨ててまでも南側に謝罪したとすれば、それは食糧支援を得るためのジェスチャーであった(この謝罪の通知文なるものが、捏造されたまがい物ではないかとの指摘も出ているので)。
北朝鮮に寛容な文在寅大統領と韓国政府は北朝鮮側からの「食糧支援哀願(哀訴)」を受け入れるだろう。狡猾な中国も国内の食糧事情は決して豊かではないが、最終的には「恩を着せて」食糧支援に応じるだろう。
問題はわが日本である。日本には余剰米(備蓄米・放出米)があり、「農林水産省」が9月30日に発表した、2020年度産米の作柄概況は「平年並み」で、このままの天候が順調に推移すれば供給過剰により米価が下落するとも予想している。
この「米余り大国日本の米」を北朝鮮は狙っているとも言われ、ゆめゆめこんな要求には乗ってはならない。日本人は忘れてしまったようだが、北朝鮮は日本から平成7年(1995)に「米の有償支援」を受けておきながら、いまだにその代金はおろか利息も払っていないのである。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)
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