読売新聞の論調に変化? 核ゴミ処分問題報道は「原発礼賛」せず

 

《読売》は日本のエネルギー政策全体にかかわる問題として、最後のブロックで議論を展開している。政府は2030年度の望ましい電源構成として原発の割合を20~22%としているが、原発が引き続き稼働すれば、その分、「核のゴミ」が生まれると。再生エネは「脱炭素」のために重視されているが、「再生可能エネだけで充分な電源を確保する道筋は確保されて」いないと。つまり、原発は必要だが、動かせば「核のゴミ」が増えるということになる。

核燃サイクルも、「原発が充分に活用されなければ、生産された核燃料は行く場を失いかねない」とする。「政府は最終処分場の選定に並行し、国民に納得感のある原発の将来像をしっかりと示すことが課題となる」と結論付けている。

●uttiiの眼

《読売》流ながら、非常に手堅く、全体状況をまとめた記事。しかし、最後の結論は何を意味しているのか分からない。原発を使い続けることを国民に納得させろとけしかけているのか、それとも、「脱炭素」とともに「脱原発」も果たし、再生可能エネだけで電力需要を賄う展望を示せと言っているのか。曖昧さが残る。

穿った見方かもしれないが、《読売》がこうした点で何が何でも原発…と言えなくなっていることが重要なのかもしれない。少なくともこの記事を書いている記者には、健全な迷いがありそうだ。

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読売オンラインのサイト内検索がヒットした29本の最古のものは…と記事を見てみたが、なぜか「古い」ほうの数件は「核のゴミ」と無関係の記事。ブラウザーの画面検索を掛けても「核のゴミ」は出てこない。どうなっているのか?(その後も無関係の記事はリストアップされており、都合7件が無関係。本当にヒットしたのは22件だった)。結局、一番古いのは「よみうり時事川柳」に載った読者の作品。そして、実質的には次の記事。

2019年9月24日付「解説スペシャル」
政府とNUMO(原子力発電環境整備機構)が候補地を探して日本中を行脚しているという話。

*その次はもう今年の8月末に飛ぶ。

2020年8月28日付
寿都町の片岡町長が、廃棄物の受け入れに否定的な道の条例について、改正も視野に議論すべきだとの考えを明らかにしたとのニュース。鈴木知事は、記者会見で、条例改正の必要はないとの考えを示したという(道は、幌延町の深地層研究センターを受け入れた時に、将来最終処分地にされてしまうのではないかという住民の不安を払拭するため、「特定放射性廃棄物は受け入れがたい」という内容の条例を施行した)。

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