正社員という日本の病。なぜこの国では正規雇用がバイトより悲惨なのか

 

ですが、定時が終わった後、つまり非正規の人たちが退社した後の時間にも正規労働の人には余分なタスクが振られることがあります。また定時の中でも、突発事態が生じた場合は、そのタスクは正規の人に振られます。

その結果として、基本的には、正規労働の人は仕事の裁量はありません。厳密な職務分掌もないので、隣のセクションの電話も取らなくてはならないし、欠勤した人への問い合わせもできるだけ対応しなくてはならないなど、ヘトヘトな世界があります。

結果的には、厳密な時間管理はなく、いくら根絶しようとしてもブラックなサービス残業や、自宅での公私混同的な作業などを背負わされます。場合によっては社会正義・法令遵守と企業の利益の板挟みになることもあります。非正規の場合は、脱法行為を強制すると「内部告発」などをされる危険がありますが、正規の場合は「忠誠心」があるから「大丈夫」という発想が経営側にあるからです。

また正規労働者の場合は、公私混同の局面は様々な、おのがあり、夜間や休日における交際、儀礼、派閥、セレモニー的な社内行事への参加強制、意味のない研修や視察への派遣、それに伴う出張などがあります。転勤命令とか、その結果として単身赴任が発生するなど、世界のどこにも見られないような奴隷的な慣行もあります。

その全てが契約でないし、厳密には江戸時代のような一方的な命令に従わせる物となっています。契約上は断ることができても、それでは、出世コースから外されるとか、転勤を断った人間や産休を取った人間を出世させると士気に関わるなどという封建的な理屈で隷従を迫られる場合もあります。

とにかく、正規雇用の場合は、非管理職の間は持ち出しということになります。企業に安い給料で搾取されても、とにかく管理職候補だからということを信じて耐える、その上で、管理職以上になったら、過去の我慢を回収にかかるわけです。

名ばかり管理職だとか、ITのできない窓際などが高給を取っている姿は、若い世代からは実に格好悪く見えるかもしれません。ですが、当人たちは、若い時代にこれだけ我慢して、理不尽な要求に耐えて来たのだから、今はそれを全部回収する権利がある、そう思っています。ですから、反省はゼロなのです。

だからこその年功序列なのです。そのようにしてヒエラルキー管理をすることで、日本式雇用というものが成立しているわけです。

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