「学術会議を悪党に」暴かれた菅首相とその仲間たちの7大デマゴギー

 

3.学術団体に税金投入は日本だけ?

■ 橋下徹@hashimoto_lo、10月6日

アメリカとイギリスの学者団体には税金は投入されていないようだ。学問の自由や独立を叫ぶ前に、まずは金の面で自立しろ。年1,500円ほどの会費で今の予算は確保できる。

■ 橋下徹@hashimoto_lo、10月12日

これ〔上の6日付ツイート〕は説明不足だった。アメリカやイギリスでは、日本のように学者団体を丸抱えすることはないが、学者団体に仕事を発注して税金を投入する。日本の学術団体も同じく早く非政府組織となって政府から仕事を受ける団体となるべき。

■ 平井文夫(フジTV上席解説委員)@情報番組「バイキングMORE」、10月5日

欧米は全部民間。日本だけが税金でやっている。

● 全米科学アカデミーは非営利民間組織ながら運営費3億ドル(約315億円=17年)の80%は連邦政府との契約という形で公的資金が投じられている。イギリス王立協会は収入7,060ポンド(約97億円=13年度)の67%が公的資金から支出されている(10月20日東京新聞夕刊)。ドイツは100%が公的資金(10月15日付赤旗)。

● 日本学術会議の今年度予算は約10億5,000万円で、主な内訳は、内閣府の職員約50人の人件費=4億4,000万円、国際学術会議の分担金等=1億5,000万円、国内外の旅費=1億5,000万円など。会員と連携会員は特別職の国家公務員とされるが、支給されるのは会議や出張の日当1万9,600円と交通費実費のみ(15日付赤旗)。

● 日本学術会議は会員210人、連携会員約2,000人で計2,210人。各自が年会費1,500円を払っても331万5,000円にしかならない。10億5,000万円を確保するには1人の負担は47万5,000円になる(本誌試算)。橋下の「1,500円」とはどういう計算なのか。

4.学術会議会員は終身年金が貰える?

■ 平井文夫(フジTV上席解説委員)@情報番組「バイキングMORE」、10月5日

この〔学術会議の〕人たち、6年ここ〔学術会議〕で働いたら、その後、学士院というところに行って、年間250万円の年金貰えるんですよ、死ぬまで。

● 日本学術会議と日本学士院とは、成り立ちも性格も所轄も根拠法も異なる別の組織であり、前者は、戦後GHQの指導下で1949年に創られた国立アカデミーで、政府の政策や科学技術振興策などに積極的に関わる活動を行うのに対し、後者は、1879(明治11)年に西郷従道文部卿が福澤諭吉を初代会長として設立した「学者の殿堂」とも言うべき顕彰のための団体で、政策への関与は特に期待されておらず、功成り名を遂げた学者のサロン的な性格のもの。前者は会員210人(総理大臣により任命される特別職国家公務員)と連携会員約2,000人(同会議会長に任命される一般職国家公務員)からなり、3年ごとに半数が改選されるのに対し、後者は定員150人の終身会員制で、欠員が生じた場合に補充される。前者の会員・連携会員には報酬はないが、後者には特別職国家公務員の給与という形で250万円(部長2人は260万円、幹事は270万円、院長は280万円)生涯受け取る。前者の年間予算は上述のように10億5,000万円、後者は6億1,920万円(20年度)でそのうち3億7,570円が年金に充てられる。

● 1949年に学術会議が作られた時にその下に学士院が組み入れられたことがあったが、5年後には分離・独立しており、全くの別組織である。学士院が新会員を選ぶ際には、学士院の現会員、学術機関及び学会の長、学術会議の会員が推薦することができるが、選任されるかどうかは分からない。現状で、学術会議の現会員で、かつ学士院会員でもあるのは、2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章=東京大学卓越教授(学術会議会長)だけだとされる。いずれにせよ、学術会議OBOGが自動的に学士院入りして終身年金を貰えるなどということはあり得ない。

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