「学術会議を悪党に」暴かれた菅首相とその仲間たちの7大デマゴギー

 

7.学術会議は「廃止」せよ?

■ 櫻井よしこ@意見広告、10月23日付読売新聞

日本を否定することが正義であるとする戦後レジームの「遺物」は、即刻廃止すべきです。国家機関である日本学術会議は、その代表格です。学術会議は、GHQ統治下の昭和24年に誕生しました。……日本弱体化を目指した当時のGHQは学術会議にも憲法と同様の役割を期待したのでしょう。会議はこれに応えるように「軍事目的の科学研究は絶対行わない」との声明を何度も出してきました。憲法も学術会議も国家・国民の足枷と化したのです。〔以下略〕

● 大きな節目がくる。第1次世界大戦だ。飛行機に毒ガスに潜水艦。新兵器が続々登場。日本も科学技術の進歩のアクセルを踏まねば!老人の集まる帝国学士院では役に立つまい。大戦の終わった翌々年の大正9年、文部省は「学術研究会議」という名の新団体を組織する。大学や研究所の縦割りを超える働き盛りの研究者の回路を作り、いざというときに軍事科学研究で後れを取らぬようにしようというわけだ。学術研究会議がフル稼働したのは太平洋戦争中である。予算が集中投下され、レーダーや原子力や殺人光線が研究された。原爆を開発したアメリカに比べれば、成果は僅かだったが。この学術研究会議の後継組織が昭和23年に誕生した「日本学術会議」である。日本は戦争に負け、覇権国家や経済国家の道を諦めた。これからは平和国家で文化国家だ。学者も戦争協力を反省し、権力を批判的に監視してこそ生き直す道も開ける。「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献」するのが会議の使命と謳われた。会議は首相直属。しかし運営は政治から独立する。平和のための科学の道を首相に直言し、国を動かすことが期待された。日本国としても、そんな科学者組織が政府内にあることは、二度と侵略国家に戻らぬと他国を安心させるのに有益だった(片山杜秀、週刊新潮コラム10月29日号)。

● 学術会議を首相の足元に置いたのは、「二度と侵略国家に戻らぬ」という覚悟を内外に示すためであって、70年後にたまたま首相になった無教養な男が「会員は……内閣総理大臣が任命する」(会議法第7条2)の条文を曲解して、平和を重んじる学者を同会議から排除するのに権限を振り回すとは想定していなかった。菅首相や櫻井にとっては日本を再び「侵略国家」にするために憲法や学術会議が邪魔なのである。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2020年10月26日号より一部抜粋・文中敬称略)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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