もって1年か。コロナ拡大もGoToを止めぬ菅政権が選挙で大敗する日

tsuda20201116
 

もはや第3波が到来したとも言われる、新型コロナウイルスによる感染症の流行拡大。それでも政府は来年1月末までとしているGoToトラベルを中止するどころか、延長する方針すら示しています。本格的な冬を迎え感染の広がりが懸念される中でのこの判断は、国民の理解を得ることはできるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、来年の総選挙の自民党に対する評価について「トランプ大統領に向けられた選挙結果と同じことになる」と予測。さらに菅首相に対して、新型コロナ感染抑制失敗による辞任だけは避けるべきとした上で、今もっとも重視すべきことを記しています。

コロナ感染「再拡大」の日本

コロナ分科会では、感染拡大でフェーズ3地域に対して、「GoToトラベル」を中止すると尾身会長は言うが、菅首相は、「GoToトラベル」の中止はしないと強く述べた。

しかし、現時点でもGoTo宿泊施設従業員の感染は133人にもなっている。地方の感染した従業員たちは、地方のお年寄りに移すことになる。地方の死亡者数増加や病院ひっ迫が起きる可能性も視野に入れる必要がある。

「ハンマー&ダンス」政策で、コロナ感染拡大時には、経済的な縮小を伴う感染防止の方向の政策であったはずが、菅首相は経済優先で、コロナ感染拡大でもハンマーを使わないとした。

西村担当相も、菅首相に追従して「(GoToトラベルを利用するかどうかは)国民の皆さんの判断だと思います」と述べ、感染拡大でもGoToトラベルを中止しないようである。

これは、経済優先でポピュリズムのトランプ路線であり、科学的な知見を無視することであり、その先にはコロナ感染拡大で重症者の増加、死亡者の増加と病院機能の麻痺という結果が待っている。

今現在、日本でもコロナを完全に制御できているわけではないし、コロナ・ワクチンが急に準備できるわけでもない。期待できるのは重症化する患者を早期に見つける血液検査で、アトピーの診断で用いるCCL17の量を計ることだという。CCL17が少ない人は重症化しやすいという。それでも、感染者数が増加すれば、その分重症化する人が増えるので、解決にはならない。

ということで、野党は、日本学術会議の任命拒否問題より、コロナ感染拡大でも、「GoToトラベル」を行う菅首相を追求した方が、国民の支持を得ることができる。

そして、来年は総選挙を実施することになるが、国民の審判は、おそらく、トランプ大統領に向けられた選挙結果と同じことになると予測できる。選挙では自民党が大幅な減少の敗北になり、しかし政権は維持できるが、菅首相の任期は1年と短くなるような気がする。

地銀再編や規制緩和・デジタル化を積極的に進める菅首相に期待したいので、コロナ感染拡大防止を無視することで辞任する事態だけは避けてほしい。

国民の生命と経済とのバランスが重要であるが、最後は生命を重視する必要がある。菅首相は、業界団体や県知事たちの意見に流されているが、最後は国民の生命を優先するという基本的な考えを持ってほしいものである。哲学が大事な時である。

生命を優先すると、企業のリストラが加速して、中高年の失業者が溢れて、自殺者も増えるので、中高年失業者への特別給付金のような手当が必要になる。全体的な死亡者数を抑えるためにも必要なことである。国民全員ではなくても、失業者への手当は絶対に必要である。

しかし、自民党の敗北時を想定して、岸田氏は準備していてほしい。また、安倍前首相は、4年後のトランプ再任時の切り札カードとして温存してほしいものだ。1年後に再度首相になると、4年後にはトランプ氏が裏切りとして大変なことになる。それより、今は我慢してトランプ氏との暖かい交流を続けていてほしい。

バイデン政権は、民主党の左右激突で4年後、米国民はトランプ氏を再度、大統領にする可能性が大いにあるからだ。

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