【サーチ&リサーチ】
《東京》の検索機能を使って、この5年分の記事から「定額負担」で検索を掛けると、11件にヒット。最も古いのは、2016年の記事。
2016年2月10日付
中央社会保険医療協議会(中医協)が厚労相に答申。「身近にある診療所などの紹介状を持たずに大病院を初めて受診する場合、初診料とは別に5000円以上の定額負担を求める制度と、病院前にずらりとならぶ「門前薬局」を見直し、薬局にかかりつけ機能を持たせる新たな制度導入が柱」。紹介状なしの患者に「定額負担」をさせると同時に、かかりつけ医の役割を拡げる内容。基本的に「入院から在宅医療に重心を移す姿勢」
*2017年4月からの導入が決まったことになる。他方、財政審は、2017年度の予算編成に関する建議の中で、「一定の要件を満たす「かかりつけ医以外を受診した場合の受診時定額負担を導入すべきである。その際、診療所と病院の機能分化を進めていく観点から、定額負担を施設類型に応じて設定していくことを含め、速やかに検討を進めるべきである」と述べている。
2016年10月27日付
社会保障審議会の部会では反対が相次いだ。「委員からは「現段階ではかかりつけ医の定義がはっきりしない」などと、かかりつけ医と他の医療機関を区別する基準や方法など、制度面の不備を指摘する意見が続出。「(患者側に)一律に負担を求める有効性が不明確だ」などとして患者の負担増に難色を示す意見が多数を占めた」という。
2019年12月17日付
全世代型社会保障検討会議の中間報告。「紹介状なしで大病院を受診した患者が支払う定額負担も引き上げる。現在はベッド数が400床以上の病院を対象に初診時5千円、再診時2500円以上の追加負担を求めているが、22年度初頭までに対象病院を200床以上まで拡大し、負担額も現在より上乗せすることを検討する。増額分は保険財政に繰り入れる」というもの。
*そして、安倍首相(当時)による今年1月の施政方針演説のなかでも、「かかりつけ医機能の強化を図るため、大病院の受診に定額負担を求めることで、現役世代の負担上昇を抑えます」と。
●uttiiの眼
財政審あるいは財務省と、社会保障審議会あるいは厚労省との対立には何の不思議もないが、国家機構内の「対立」は所詮厳しくはない。大枠としての「新自由主義」では基本的に一致しているので、時間が立てば結局はジリジリと医療提供側が後退を余儀なくされていく。こんなことを続けていたら、大勢の人が自宅で痛む体を抱えながら命を削られていくような社会が普通になってしまうのではないか、そんな危惧を覚える。
この先、この分野でさらにコストを下げようとすれば、かかりつけ医が紹介状を書くにあたって厳しい条件を付けるというようなことになるのかもしれない。
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