インド不参加、台湾は排除。中国主導の「RCEP」が日本に及ぼす災禍

kou20201119
 

2012年の交渉開始から8年、今月15日にようやく15カ国の署名に至った東アジア地域包括的経済連携(RCEP)。日中韓やASEAN諸国等が参加する大規模な協定となり、世界の注目を集めています。しかしこの中国主導の協定の危険性を訴えるのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』でその理由を述べるとともに、バイデン大統領の誕生でアメリカの復帰が期待でき、かつ中国が参加できないTPPで日米台が連携すべきであると記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年11月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国・台湾】危険なRCEPより中国排除のTPPで日台連携を

RCEP合意 台湾への影響「限定的」 中国未参加のTPP加入に重点

11月15日、日本と中国、韓国、オーストラリア、ASEANなど15カ国が、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名しました。

RCEPは、2012年に中国が提唱したアジア版の自由貿易協定で、これまでなかなか交渉が進展しなかったのですが、ようやく妥結に至ったわけです。人口23億人、GDPで世界の約3割を占める巨大な経済圏ができることになります。

今後、協定を結んだ国々のあいだの関税を段階的に引き下げ、貿易活動を促進させて各国の経済を活性化させるという狙いがあるわけですが、もちろん、中国が主導していることもあって、台湾はRCEPには参加できません。

とはいえ、RCEPは取り決めがゆるいため、たとえば粗悪品や知的財産権を侵害したコピー商品なども流通する懸念があります。

加えて、インドも参加を見合わせています。それも、中国の安い粗悪製品が流入し、自国の市場を席巻することを警戒しているからです。

トウ振中(とうしんちゅう)行政院政務委員は、「台湾にとっては、RCEPに署名した15カ国に対して台湾が輸出している製品のうち、7割がすでにゼロ関税の対象であるICT(情報通信技術)製品であり、残りの3割である鉄鋼や紡績などの産業が影響を受ける可能性があるものの、影響は限定的だ」と述べました。

そして、台湾が狙っているのは、中国の妨害により参加できないRCEPよりも、中国が参加していないTPP(環太平洋経済連携協定)のほうだと述べました。

TPPは投資や知的財産権、政府調達などの幅広い分野で、域内共通ルールをつくっています。そして、質の高い貿易や投資の自由化をめざすものです。知的財産権の保護の厳格化や、より透明性のある投資や政府調達などが義務付けられており、このような条件のもとでは、中国はTPPに参加できないのです。

中国の参加できないTPPに台湾は参加できますので、中国による嫌がらせなども受けずに済みます。

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