香港の次は台湾。中国の時代錯誤な「独立派」取り締まり脅迫の手口

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香港の民主化運動を力でねじ伏せた中国ですが、台湾に対する脅迫の手を緩めるつもりもないようです。先日香港紙に掲載された、「中国が台湾独立派のリストを公開し生涯責任を追求する」との記事を紹介するのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、こうした動きに出る習近平政権の思惑を考察するとともに、今回の脅しの手口を「時代錯誤の失笑もの」とバッサリ斬り捨てています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年12月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】香港の次は「台湾独立」派を取り締まる中国

中国「台湾独立派リスト」公表へ 香港紙報道「生涯責任を追及」

中国当局が「台湾独立分子」のリスト、いわゆる「ブラックリスト」を作成し、リストに名前が載った人物には「生涯責任を追及する」と公言しました。以下、報道を一部引用します。

中国系香港紙の大公報(電子版)によると、リストに記載された人物は刑法が定める「国家分裂罪」のほか、台湾独立阻止を狙った2005年の「反国家分裂法」や15年の「国家安全法」違反に問われる恐れがある。

 

一方、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)によると、リスト化は2年前から検討されていたが、ポンペオ米国務長官が12日に「台湾は中国の一部ではない」と発言したことなどを受けて実施を決定した。米国の次期政権誕生後に公表される見通しという。

 

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は17日付社説で「(リストアップされた人物は)香港やマカオ、大陸(中国本土)の地を踏めなくなり、他国訪問も危険な旅となる」と警告した。外国人がリスト化された場合、中国入国時に拘束される恐れがある。

中国「台湾独立派リスト」公表へ 香港紙報道「生涯責任を追及」

サウスチャイナによると、次期米政権の始動後にリストを公表する見込み。台湾事務弁公室は報道を受けた談話で、リスト作成を明言しなかったものの、国家主権と領土の保全への挑戦を「絶対に許さない」と主張。共産党機関紙、人民日報系の環球時報英語版(電子版)は蘇貞昌行政院長(首相)らがリストに入ると伝えた。これに対し、蘇氏は「国(台湾)と人民を守り、威嚇に屈しない」と述べた。

台湾独立派のリスト作成へ 中国、制裁や立件を想定

ずいぶんな脅しです。しかし、こんな脅しやブラックリスト作成は、中国共産党のお得意分野で、今さら公言するまでもなくこれまでも行われてきました。なぜ今、わざわざこのようなことを公言するのでしょうか。

上記の報道にもあったように、トランプ政権になってから台湾とアメリカの距離が縮まりました。バイデン政権がどう出るか、まだ具体的には分かりませんが、コロナ対策なども含めて台湾が世界で存在感を増しているのは事実です。そこで、焦った中国が今さらこのようなことを公言しているのではないか、というのがメディアの論調です。

報道によれば、バイデン米大統領の誕生とあわせてリストを公表するとありますが、そもそも公表しないから「ブラック」なわけで、公表してしまったら「レッドリスト」です。

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