菅政権の「脱ガソリン」に反旗。トヨタ社長の発言にのぞく正論とエゴ

 

それでも、再生可能エネルギーが火力発電に代わった世界では、EVは温暖化ガス問題での優等生になり得る。そのことが分かっていて、「脱ガソリン車」に反対するのは、EVあるいは燃料電池車の開発を進めるための“時間稼ぎ”なのかもしれない。

それにしても、自動車工業会の会長があからさまな政府批判を行ったのはなぜだったのか。想像だが、菅氏は「脱ガソリン車」方針の表明をする前に、自動車工業会への根回しもせず、思い付きでしゃべってしまったということなのではないだろうか。少なくとも、会長との擦り合わせさえできていなかったということになる。このような形で批判されるようでは、自民党内からも批判が出てくるのではないか。余計なお世話だが。

【サーチ&リサーチ】

トヨタとEVの関係を、少々時間を遡って見ていくことにする。

2016年6月16日付
株主総会での豊田章男氏は「環境対応車」について「現在はハイブリッド車(HV)などがエコカーの主力だが、将来的には水素で動く燃料電池車や電気自動車(EV)が中心になるとの見方を経営側が示した」

*燃料電池車だけでなく、EV開発も視野に入れている。ところが1年後…。

2017年6月3日付
「トヨタ自動車が、保有していた米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株式を2016年中にすべて売却し、業務提携を解消していたことが分かった」という。テスラと共同開発したEVを米国で販売したが、「EVの本格開発は自前で行う意図があり、14年10月にはテスラ株の一部を売却したほか、16年12月には商品化を加速するため豊田章男社長が直轄する社内ベンチャーを新設した」とある。

2017年8月4日付
EV技術の共同開発を目的の1つとして、マツダと業務提携を行い、株の持ち合いまで。世界的な規制の強化やEVシフトに対応する形で。

*マツダとの提携は、EV技術の共通化を狙うとの意味があったようだ。

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