自称リベラルの欺瞞。コロナ失敗のドイツ礼賛、成功の台湾ガン無視

 

日本のリベラルは、「戦後処理」に関しても、よくドイツを引き合いに出して日本を批判します。いわく、「ドイツは戦後処理をきちんとしたから、ヨーロッパでの信頼を回復した。日本は戦後処理をしてこなかったから、アジアから不信感の目で見られている」というものです。

しかし、これはまったくの間違いです。たしかにドイツは西ドイツ時代、ユダヤ人虐殺などへの個人補償については、日本円で総額約6兆円を支払ってきました。しかし、それは主に600万人ものユダヤ人虐殺についてです。しかもナチス・ドイツのホロコーストは、戦争犯罪ではありません。戦争とは関係なく行われたものです。

そしてドイツはホロコースト以外の戦時賠償については完了していません。それは戦後、ドイツが東西に分裂してしまったこともあります。そもそも東西ドイツとも、講和条約や平和と呼べるものを連合国と結んでいませんでした。それが結ばれたのは、東西統合が現実になった1990年になってからです。ドイツ最終規定条約というもので、フランス、イギリス、アメリカ、ソ連との間で調印されました。

そもそも、第1次大戦のドイツに対する過酷な賠償がナチスを生んだという反省から1953年、西ドイツと米・英など西側の債権国19か国は、ロンドン債務協定を結び、ドイツが負っている借款を半減し、その総額145億マルクを1994年までに返済すると定めました。

ところが西ドイツは、協定を盾に、ドイツの再統一まで講和条約の締結と賠償支払いを凍結したのです。そして1990年、ドイツ最終規定条約が締結されると、英米仏ソはベルリンを含めて、ドイツにおいて保持してきた全ての権利を放棄、これによって賠償問題は消滅します。

また、西ドイツは西側12か国やユーゴスラビア、チェコスロバキア、ハンガリー、ポーランドとの間で、戦争中の相手国国民請求に対する補償の一括支払いを行いましたが、共通しているのは、いずれも対象をナチス犯罪の被害者としている点です。

つまり、ナチス犯罪の被害者に対する「個人賠償」はしているものの、「国家賠償」はしていないのです。ドイツはドイツ人も「ナチス犯罪」の被害者として位置づけています。

ワイツゼッカー元大統領が行った「荒野の40年」という有名な演説でも、彼は「苦しめられ、虐げられ、辱められた国民が最後にもう一つありました。私たちドイツ国民です」と述べ、ドイツ国民をナチスの被害者だと規定しています。

だから、2013年4月には、ドイツに対して第2次世界大戦の賠償を求める動きがギリシャで起こりました。

ギリシャ、第2次大戦の賠償をドイツに要求へ

さらに近年はロシアからも、ドイツに戦時賠償を求める声が上がっています。しかし、ドイツはいかなる支払いも行わないことを宣言しています。この態度こそ、「日本は見習え」と言うべきでしょう。

一方、日本は終戦後、各国との個別の合意の上、当時の金額で1兆300億円という巨額を、国家賠償あるいは経済協力として、いちはやく関係各国に支払いました。どちらが「戦後処理」をきちんとしているかということは、言うまでもないでしょう。

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