松本人志の笑えぬ劣化ぶり。「正統派」論争の裏にテレビは偉いという時代錯誤

 

「正統派」批判の背景にある根深い問題

このように正統派やプロを「イケていない」と断罪する背景には、テレビに出ている人間が偉くて、寄席芸人は二流だし、貧乏という価値観があるからだろう。

たまたま、大晦日の深夜『朝まで生テレビ』のオープニングだけ見て眠くなった(あまりにありきたりのことしか言わないから)ので寝てしまったが、実は1999年も2000年も年末スペシャルのこの番組に私は出ていた。

その頃は自分もイケていると勘違いしていた。

2000年に、受験生向けではない一般書で、私にとって初めて20万部のベストセラーになった『大人のための勉強法』という本を出した。

それまで、いろいろな総合月刊誌に寄稿していたが、この本が売れたおかげで、執筆依頼が殺到し、2年に一度くらいは10万部超えの本を出し続けているおかげで、それから20年、1年間に平均30冊くらいの本を出し続けることができた。

しかし、テレビの出演依頼は減り続け、とくに何を言うかわからない危険な人間のリストに入っているらしく、生放送の出演はほとんどなくなった。

不勉強なテレビ業界が大量の自殺者を生み出している

長年、テレビに出してもらってわかることだが、テレビの出演者を決めるのはプロデューサーと呼ばれる職種の人間だが、本すら読まないような人たちだ。

私にしても、新聞にコメントを出したり、雑誌に出たりすると出演依頼がくるが、私の本を読んで出演依頼がきたことはほとんどない(私をテレビ番組で取材した人で、唯一本を読んできてくれたのは石原良純氏だった)。

だから、彼らは、たとえばコロナ問題で出演者を決める際に、雑誌で読んだ記事程度から判断して、出る学者や医者を決める。

決して彼らの書いた論文や著書を読んだわけではない。

そして、一度出て、それが学問的に正しいとか予想が当たったとかいう基準でなく、視聴者に受けた(と言っても視聴者からくるメールのレベルだが)かどうか、とかわかりやすい、あるいは、プロデューサーの意図の通り(今の時代なら、コロナが怖いという風に世間に思わせる人が喜ばれ、実はたいしたことがないなどというと次からは出られない)話してくれるかという基準で、これからも出し続けるかどうかを決める。

ところが、世の中はテレビに出ている医者だから偉いと勘違いする。

だから、今回のコロナ騒ぎでも「テレビに出ている医者」「テレビに出ている医者でもない細菌学者」の声がリードして、自殺者を増やし、かえって免疫力を下げるような自粛が呼び立てられ、それに逆らう奴は人間としてクズとでも言わんばかりのムードができあがった。

もちろん、それにきちんと反論を発表しない、いわゆる学会、とくに学会ボスもだらしいない。

臨床をきちんとやっていないから、そんなことをすると多くの患者さんが悪くなり、医者に来なくなると言えないのだろう。あるいは、コレステロール値を上げろとか、メタボを何とかしろという場合でも、日本で大規模調査をやらず海外のデータをもとに医療を行ってきたから、海外のいうことには逆らえないのだろう。

しかし、それがますますテレビ局とテレビに出る医者たちを増長させたのは間違いない。

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