松本人志の笑えぬ劣化ぶり。「正統派」論争の裏にテレビは偉いという時代錯誤

 

コロナへの恐れ方がひどすぎることを看破した医師

さて、テレビに出ているクズ学者とは対極で、若い頃の勉強は大切だし、ちゃんと勉強のできる人間は環境が変われば、その環境の中で一流になれることを痛感する医師がいる。

一応、4人の会食だったので、あえて名前を出すが(私は体の健康より心の健康のほうが大切と思っているので、会食がそれほど悪いことと思っていないが、相手に迷惑がかかるので一応ガイドラインの範囲内であるという意味で書いた)、私が長年、その糖尿病治療(インスリンを原則使わない)で敬意を払っている岡本卓先生と年末に会食をする機会を得た。

岡本氏は、私の東大医学部の同級生だが、ずっと学年でトップの成績だったし、開成高校時代もダントツのトップだったらしい。授業にロクに出ないで(医学部に進学してから私は講義のほうは3回しか出た記憶はない)ビリに近い成績で卒業した私と比べると神様のような人だった。

その後も順調に成功し、東大の助手、アメリカの大学の助教授などを経て、30代で理化学研究所のチームリーダーに就任する。

ところがアメリカの上司から研究資料を無断で日本に持ち出したとの角でアメリカにスパイとして訴追されてしまう。

結果的に日本の法務省が引き渡しを認めず、アメリカで裁判を受けることも刑務所に入ることもなかったのだが、私も初めて知ったが、日本では拘置所暮らしをしていたとのことだ。

栄光から奈落とはまさにこのことである。

結果的に理化学研究所のポストを失い、北海道の民間病院に勤めた後、北見で開業医になるのだが、卓越した英文読解力もあって、日本の糖尿病治療がグローバルスタンダードに反していることを著書にしたり、実際インスリンを使わないで糖尿病治療を行ったりで、あっという間に地元の名医(というかおそらく日本で糖尿病の臨床ならトップを争うだろう)になった。

さらに田舎の開業医は患者のニーズになんでも答えるべしという姿勢で、地元のアルコール依存症の患者さんの臨床にもあたり、私と『依存症の科学』という共著も出している。このときも、日本のクズ精神科医とは比べ物にならない知識に圧倒された。

奥様も一流の研究者だったが、患者さんのために心の治療を学ばれているという。

そんなお二人が「あのときは大変だったが、今は開業医になって幸せ。患者がよくなる姿をみると生きがいを感じる」という。

「テレビに出る医者」を信じると寿命が縮む

『東大医学部』という本でも書いたが、東大医学部を出た医者がクズが多いのは、受験勉強のやり過ぎで人間性がない奴が入る(こう主張して東大理3に入試面接を導入した北村という男は、国際医療福祉大学で破廉恥な不祥事を起こしたらしく、あっという間に医学部長を解任されている)のではなく、その後の教育が悪いからだ。秀才は、与えられた課題がいい臨床だと、いい臨床医になれる。ということを痛感させてくれるいい会食だった。

彼もコロナへの恐れがひどすぎることを看破して、医療関係者がコロナを怖がって検査が進まなかった時期に、自分のクリニックで真っ先にPCR検査を受けられるようにして、北見ではほとんどクラスターがでていないとのことだ。

テレビに出る医者たちより、実績のある医者を信じないと、自分の命を縮めることになることだけは確かだろう。

【関連】山口達也を破滅させた“本当の容疑者”フジテレビと警察の欺瞞を暴く

image by: Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2021年1月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
2020年12月配信分
  • 94回 愚民化政策の行く末(12/26)
  • 93回 「感染症」のためなら何でもしていいのか?(12/19)
  • 92回 迷惑系ユーチューバーの元凶は電通だ!(12/12)
  • 91回 老年医学会というクズ学会(12/5)

2020年12月のバックナンバーを購入する

 
2020年11月配信分
  • 90回 その病気で死ぬ人より副作用で死ぬ人が多い治療の強制がされる国(11/28)
  • 89回 引き算の医療から足し算の医療へ(11/21)
  • 88回 ウヨクの資金源にまつわる妄想(11/14)
  • 87回 人が変わる、世の中が変わると思えない人たち(11/7)

2020年11月のバックナンバーを購入する

 
2020年10月配信分
  • 86回 中国とどうつきあうか(10/31)
  • 85回 思考の自由のない国(10/24)
  • 84回 ワイドショーに出る人の思考回路(10/17)
  • 83回 報道の役割とは?(10/10)
  • 82回 菅総理の真意(10/3)

2020年10月のバックナンバーを購入する

 
2020年9月配信分
  • 81回 動かない警察によるコロナ禍(9/26)
  • 80回 一流の国とは?(9/19)
  • 79回 人に迷惑をかけてはいけない社会(9/12)
  • 78回 アベ政治のどこがすごい?(9/5)

2020年9月のバックナンバーを購入する

 
2020年8月配信分
  • 77回 コロナ禍の一筋の光(8/29)
  • 76回 強者の論理(8/22)
  • 75回 条約が憲法に優先する国の国際法違反(8/15)
  • 74回 獣医の言いなりになる人たち(8/8)
  • 73回 闘ったことのない人の戦い方(8/1)

2020年8月のバックナンバーを購入する

 

和田秀樹この著者の記事一覧

高齢者を専門とする精神科医、学派にとらわれない精神療法家、アンチエイジングドクター、そして映画監督として、なるべく幅広い考えをもちたい、良い加減のいい加減男。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」 』

【著者】 和田秀樹 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 土曜日

print
いま読まれてます

  • 松本人志の笑えぬ劣化ぶり。「正統派」論争の裏にテレビは偉いという時代錯誤
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け