感染者数とともに「検査数も減」の不可解。都専門家会議が鳴らした警鐘

 

東京都医師会副会長の発言を伝える今日の記事と同様あるいは近い意味で「戦略」を語っていると見られるのは、やはり、以前のモニタリング会議での猪口氏の発言をフォローした記事など3本。

2020年9月4日付
「猪口副会長は「家族以外との交流で基本的な対策を徹底し、家庭内に感染を持ち込まないことが重要。高齢者施設などに対しては、無症状者も含めた集中的なPCR検査など戦略を検討する必要がある」と指摘した」と。

*さらに、別の専門家の意見を報じた次の記事。

2020年9月6日付
国際医療福祉大大学院の和田耕治教授(公衆衛生学)の話。《東京》が行った保健所に対するアンケートで、「保健師らが業務の負担にあえいでいる実態」が明らかになったとする記事の中で…。
「多忙な保健所の実情を考えれば、このような認識は理解できる。高齢者施設の入所者を優先するなど、戦略的に調査を進めるべきだ。自治体が連携し、円滑に調査が進んだ経験や手法を共有することで、まん延防止のための効果的な調査を行ってほしい」

*そしてもう1つ。民間の「新型コロナ対応・民間臨時調査会」の報告書についても記事(2020年10月10日付社説)が出ていて、以下のように批判しているという。

「専門家との役割分担の不明確さや、対策の中で検査態勢をどう位置付けるかの戦略のなさ…」。

●uttiiの眼

猪口氏と和田氏の言っていることが完全に一致しているかは分からないが、猪口氏言うところの「高リスク集団」のなかに、和田氏の言う「高齢者施設の入所者」が入ることは間違いないだろう。1日3万件近いPCR検査能力を遊ばせながら、いまだに高齢者施設の集中的な検査も完遂せず、毎日発表される新規感染確認者数の減少に安堵したかのように検査数を減らしているとしたら、危険と言わざるを得ない。

新型コロナウイルス対策に必要な「戦略」とは、一刻も早く感染の実態を把握し、感染拡大を阻止するうえで有効な方策を集中的に実施し、そのことによって感染を終息に導きつつ、一刻も早い「経済の再開」に道を開くものでなければならないはずだ。猪口氏が批判したような、「感染に合わせた検査になってしまっている」のだとしたら、政権が必死に強行しようとしている東京五輪・パラリンピックの開催も、いよいよ怪しくなってくる。

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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