中国「ワクチン外交」に対抗心をむき出しにする、大国インドの思惑

 

【サーチ&リサーチ】

飽くまで《朝日》の場合だが、「ワクチン外交」という言葉の初出例は、昨年9月10日の記事(サイト内でも同じ記事)だった。

2020年9月10日付
ASEAN諸国に日米中も加えた一連の外相会談で、南シナ海などを巡る米中対立が現出。「間に挟まれたASEAN諸国は難しい対応を迫られている」との記事中、「中国は8月下旬にベトナムなどメコン川流域の5カ国と開いたオンライン会議でも、ワクチンの優先供給を表明。ASEANに「ワクチン外交」を仕掛ける背景には、南シナ海での米国との対立がある」との記述。

*上記の記事中に「一帯一路」の言葉は出てこない。この段階ではワクチンの供給対象がベトナムなどだったために、「ワクチン外交」の及ぶ範囲を過小に見立ててしまった印象。

2020年11月22日付
記事のタイトルは「ワクチン外交、透ける思惑 G20首脳会議開幕」。G20がサウジアラビアで開幕。会議に先立ち、国連のグテーレス事務総長が「途上国にも治療薬やワクチンが行き渡るよう、参加国に280億ドル(約2兆9千億円)の資金拠出を要望」するなど、「COVAX(コバックス)ファシリティー」に関わる提起などもあったこと。「米国第一」の米国と対立するロシアや中国には、ワクチンを外交に利用しようとする思惑があること。中国のワクチン生産量は自国民への供給にも足りず、「中国のワクチンの臨床試験を実施しているアラブ首長国連邦やブラジル、パキスタンなどの「協力国」へのワクチン提供は「優先される」(衛生当局関係者)」ほか、「新興5カ国(BRICS)や上海協力機構(SCO)など、中国が重視する国際的枠組みに対しても、「優先的に考慮する」方針」だという。

*ここでも、まだ、「優先順位」の問題として、中国がワクチン開発への「協力」や一般的に重視する外交枠組みに従った「ワクチン外交」を行うという、いわば当然の結論が語られているに過ぎない。まだ「一帯一路」との関係は論じられていない。

*その後、世界で初めてワクチンを承認したロシアの「ワクチン外交」とともに、「中国も自国製ワクチンで「途上国を援助する」(習近平〈シーチンピン〉国家主席)として、アジアやアフリカ諸国などへの優先供給を約束するなど「ワクチン外交」に乗り出している」との記事。ベトナムが独自の開発に乗り出したとの記事も。

*今年に入り、ついに「一帯一路」に言及した記事が出る。

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