とあるウェブサイトに掲載された、「村上春樹氏がSNSをいっさい見ない理由」が話題となっているのをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、村上氏のコメントと著書『村上さんのところ』を紹介。人の心や暮らしに大きな影響を与えている「言葉」との上手な付き合い方を考察しています。
村上春樹氏の言葉が響きました
こんにちは!廣田信子です。
村上春樹氏のインタビュー記事が、先週、ネット上で話題になっていました。「村上春樹」という文字を見ると、好きなので、つい記事を読んでしまいます。
ユニクロのウェブサイトに掲載された「村上春樹に26の質問」の中のある発言に関して…です。
● ユニクロ | LifeWear magazine | 村上春樹に26の質問 – Uniqlo
Q15.SNSはいっさい見ないそうですが、その理由は?
と言う問いに、村上氏は
大体において文章があまり上等じゃないですよね。いい文章を読んでいい音楽を聴くとってことは、人生にとってものすごく大事なことなんです。だから、逆の言い方をすれば、まずい音楽、まずい文章っていうのは聞かない、読まないに越したことはない。
と答えています。
村上氏は、著書『村上さんのところ』で、次のように述べています。
世間の多くの人は、言葉の怖さをよくわかっていないように見受けます。
そして、SNSが発達したせいで、抜き身の刃物のような言葉が言語空間をひゅんひゅん飛び交っています。
これは僕から見ると、ほんとうにとんでもないことです。
と。で、その記事にも、様々なコメントが寄せられ、中には、村上氏を侮辱するようなコメントも…。どうして、こんな書き込みをせずにはいられないんだろう…と、見なきゃいいのに、見てしまって、どっと疲れる私。
私たちが無自覚で使っている「言葉」は、発する人に心にも、それを目にしたり耳にする人の心にも、知らず知らずのうちに影響を与えているのは、間違いないと思います。
このごろ、テレビをあまり見なくなりました。見るのがくせになっていた、夜のニュース番組も見ていません。あまり心地よくない「言葉」が飛ぶかうバラエティ番組をだらだら見ることもなくなりました。誰かがつるし上げられるようなネット記事も見ないようにしています。
何か、やっぱり、「言葉」は人の心に影響を与えていると思います。少なくても私は、影響を受けます。
私が、SNSを使って情報を発信しているのに、双方向をやらないのは、自分が、村上氏の言うところの刃物のような「言葉」に弱いことを知っているからです。それが、誰に向けられたものであっても…です。だから、村上氏の言葉は私には響きました。
それどころかSNS批判と捉えて、あらゆる言葉で反撃せざるを得ない方がいるのは、やはり、私には、怖いな…と思えてしまいます。共感しなかったら、スルーすればいいだけです。
同時に、「だいたい文章が上等じゃない」というところには、自分の記事を思い起こし、ドキっとしました。
思うまま書き、あまり推敲する時間もなく、誤字脱字もけっこうある私の文章…とても上等じゃないけど、「刃物」のような言葉は使わないように、気を付けているつもりですが…ちゃんとできているのかな~と、過去記事をめずらしく読み返しました。
image by: Galoren.com, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で