心理学者が「禁欲ブーム」をバッサリ。快楽は悪ではないと断言するワケ

 

快楽は、使い方を間違えば身を滅ぼす「劇薬」 だが…

快楽がなぜ存在するのか、と言えば、それが人間にとって必要なものだからです。

快楽には人を進化させ、人の潜在的な可能性を引き出す力があります。

ただし、快楽は「劇薬」のようなもので、使い方を間違えれば、その人を滅ぼしてしまいます。

依存症などを見て、その恐ろしさを知った人たちが「快楽は悪」と考えるのはこのためです。

「何とかとハサミは使いよう」と申しますが、「劇薬」のたとえが過激過ぎるとすれば、快楽を人生にとっての調味料のようなものと考えてみると分かりやすいかもしれません。

たとえば、和食の味付けに欠かせない醤油も、これをゴクゴクと大量に飲んでしまえば病気になります。

醤油を1リットル飲めば、人は高ナトリウム血症を起こし、嘔吐や下痢、めまい、頭痛、痙攣、などの症状が出て脳が腫れ、昏睡状態に陥り、呼吸が停止、死に至ることもあるのです。

これは、醤油が悪いのではなく、醤油の「使い方」が悪かったのです。

しかし一方で、お醤油の無い日本料理の世界なんて、考えてみただけでぞっとしますね。

そんな、不味(まず)い食事ばかり食べていると、人は凶暴になります。

イギリス人がアグレッシブに海賊稼業で世界の海に乗り出し、世界中を植民地化して支配したのも、自国の料理が不味かったからだ、という冗談があるくらいです(これ、英国ではうけませんが)。

同じように、無意味な「禁欲」は、人を欲求不満(フラストレーション)状態に追い込み、攻撃性を高め、不適応な行動に駆り立てることにもなりかねません。

無理な禁欲生活を実践している人が、気難しく不機嫌なのは、それが心身の健康に良くないからです。

これとは逆に、人は何かの折に、素晴らしく気持ちの良い幸せな心理状態を体験することがあります。それはたとえようもない快楽に満たされたひと時です。

その時の快楽は、性的なオルガズムに似ていますが、一時的なピークを迎えて終わる激しい快感とは異なり、もっと穏やかな恍惚としたエクスタシーの状態がしばらく持続します。

心理学ではこれを「至高体験(peak experience)」と呼んでいますが、マズロー(Abraham Maslow 1908~1970)によれば、社会的成功者や自己実現に成功している人たちほど、この種の快楽を多く体験しています。

つまり、人生の達人たちは、これまで上手に多くの快楽を体験してきた結果、こうした精神的な快楽を得る「能力」を身に付けたと考えることができるのです。

要は、快楽そのものが悪いのではなく、「快楽の使われ方」「快楽の得方」が悪いのです。(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』より一部抜粋)

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