中国に警戒せよ。スパイ防止法を整備しファイブ・アイズに参加すべき日本

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アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国による機密情報共有の枠組み、いわゆる「ファイブ・アイズ」への日本の参加を巡り、加入国の対応が分かれています。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、ニュージーランドが日本の参加に対し異を唱えている背景を解説。ここでもチャイナマネーの「好ましからざる影響」が発揮されていました。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年4月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【日本】いよいよ現実化する日本の「ファイブ・アイズ」入りと重大な懸念

ワクチン確保した日本、ついでに…英語圏同盟「ファイブ・アイズ」に加入するか

4月21日、山上信吾駐オーストラリア日本大使は、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルドのインタビューで「日本の『ファイブ・アイズ』加入が進展している。私は近い将来について非常に楽観的だ」と述べたことが、アジア各紙で話題になっています。

ファイブ・アイズとは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国による機密情報共有の枠組みのことです。この5カ国はUKUSA協定というものを結び、英米をはじめとする諜報機関が世界に張り巡らせた情報網を互いに利用、共有するというもので、第二次世界大戦に英米で結ばれ、冷戦期に他の3カ国が加わり、今日に至っています。

第二次世界大戦中、あの有名なドイツの暗号機エニグマを英米共同で解読したことが、ファイブ・アイズの発端となったとも言われています。

そして現在、中国の脅威が世界的な問題になるなか、民主主義と人権といった価値観を共有する国々の連携が求められており、ファイブ・アイズの重要性が高まっているわけです。

日本ではあまり話題になっていませんが、前述の山上大使の発言は、韓国の中央日報や台湾の自由時報など、アジア各地の新聞が大きく伝えています。

日駐澳大使:日加入五眼聯盟有進展

日本のファイブ・アイズ参加を後押ししているのがイギリスです。ボリス・ジョンソン首相は昨年9月、日本のファイブ・アイズ参加を「自分たちのアイデアだ」と述べ、日本の参加は「(現在の日英関係を)さらに発展させるための非常に生産的な方法になるかもしれない」と指摘しました。

ジョンソン英首相、「ファイブアイズ」日本参加に前向き 機密情報共有枠組み

2017年8月、当時のイギリス首相だったテリーザ・メイ首相が来日し、安倍首相とのあいだで日英安全保障共同宣言を発表しました。これは「新・日英同盟」とも呼ぶべきもので、同じ海洋国家であり民主主義国かつ法治国家である日英が、グローバルな戦略的パートナーシップを構築し、さらに次の段階に引き上げることなど、17の項目で合意したという内容です。

英国は日本を最も重視し、「新・日英同盟」構築へ──始動するグローバル・ブリテン

そして先日、イギリスは同国最大級の空母「クイーンエリザベス」を中核とする空母打撃群をアジアに派遣し、年内に日本にも初寄港することを発表しました。

英空母「クイーン・エリザベス」 年内に日本初寄港へ

イギリスは2020年1月31日にEUから離脱(ブレグジット)しましたが、ヨーロッパ大陸から離れ、大英連邦に所属していた、あるいは現在も所属している国が多いインド太平洋地域へ軸足を移しつつあります。そのために、日本の情報網も積極的に活用していきたいということなのでしょう。

加えて、イギリスは香港問題で中国に約束を反故にされ、怒り心頭です。香港返還の前に中国はイギリスに対して「一国二制度」を50年間守ることを約束しましたが、2020年6月末に中国は香港に対して「香港国家維持法」を施行し、一方的に「一国二制度」を事実上破棄してしまいました。中国と対峙するためにも、日本の力が必要だということです。

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