年金受給者が長年「行方不明」の場合、遺族年金は受け取れるのか?

Seniors do walk in the park
 

さて、この男性は60歳から年金が貰える生年月日の人ですが、令和3年現在支給されてる年金額を計算してみましょう。

まず年金記録を満たしてるかという確認です。
厚生年金期間が244ヶ月と、カラ期間が68ヶ月あるので全体で312ヶ月だから年金貰う資格はある。
(平成29年8月からは10年に短縮されてます)

ちなみにこのくらいの年代の人は厚年期間が20年以上あれば、それでも年金貰う資格は持っている(昭和27年4月2日以降生まれの人から21年~25年に延ばされていった)。

65歳から現在までの年金額。

・老齢厚生年金(報酬比例部分)→38万円×8.54(生年月日による乗率)÷1000×244ヶ月=791,829円

・老齢厚生年金(差額加算)→1,628円×1.327(生年月日による乗率)×244ヶ月ー780,900円÷432ヶ月(加入可能月数)×244ヶ月(国民年金加入となる昭和36年4月以降の20歳から60歳までの厚年期間)=527,127円ー441,064円=86,063円

・老齢基礎年金→780,900円÷432ヶ月(加入可能年月数)×244ヶ月=441,064円

同居してた妻(昭和31年1月生まれの65歳)と、娘(昭和54年6月生まれの41歳。就労中)あり。

妻の年金は老齢基礎年金50万円と老齢厚生年金10万円。

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さて、この男性は70代後半からやや認知症の症状があり、夜中に起きて徘徊をする事があった。

何度か発見されて連れ戻す事が出来たが、平成26年8月20日から全く消息が分からなくなり、捜索願を出していた。

警察に連絡すると共にその時の案内で、年金受給者の所在が1ヶ月以上わからない時は「年金受給者所在不明届」を年金事務所に出す事が平成26年4月から義務化されている。

そのため、年金事務所に所在不明届を提出し、その後に現況申告書というものが郵送されてくる。
誤って所在不明届が出された場合の確認のために現況申告書が年金事務所から家に郵送されてきて、それを年金事務所に返送する。

現況申告書が提出されると年金事務所職員が訪問で調査に来て、本当に受給者が居ないのかどうかを確認しに来る。

居ないというのが本当であれば、年金受給者の年金を差し止める処理をする。

一応、平成26年10月中に所在不明である事が確認され、その後は夫の年金は差し止まったとします。

平成26年8月20日から7年後の令和3年8月19日で7年経過し、数ヶ月後に裁判所で失踪宣告をしてもらった。
失踪宣告の確定日は令和3年8月19日。

この確定日が死亡日として、遺族年金を請求する事になる。

なお、死亡とみなされた令和3年8月時点は、夫は行方不明になっていてそもそも生計維持関係が無いので、行方不明時(平成26年8月)の生計維持関係を見る。

平成26年8月19日時点は同居しており、妻の年収は850万円未満だった。
遺族厚生年金が令和3年8月19日を受給権発生日として、9月分から発生する。

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