ワクチンも政治利用。変異株の危機感足りぬ菅首相に国民は殺される

arata20210513
 

基礎疾患のない20代という若い世代が命を落とすなど、これまでとは明らかに様相を異にする新型コロナ感染の第4波。変異株が猛威を振るいだしたことがその原因ですが、ワクチンの接種も遅々として進まないのが現状です。このような菅政権の新型コロナ対策について「ことごとく見通しが甘い」と批判するのは、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で今回、菅首相の変異株への危機感不足を指摘するとともに、医療の論理を優先しコロナを抑え込むことこそが経済の復活につながると断言した上で、首相はその責務を果たすべきとしています。

菅首相には変異株への危機感が足りない

恐れていたことが起きている。ほとんど英国型変異株に置き換わったといわれる新型コロナウイルスは、2回目の緊急事態宣言の解除から3回目の宣言にいたる不徹底な対策のおかげで、関西から首都圏、そして全国の地方都市にあっという間に広がった。

当初は4月25日から5月11日までだった東京、大阪、兵庫、京都の緊急事態宣言。期間が短すぎると疑問の声が上がるなか、案の定、感染者が減ることはなく、菅首相はたまらず5月末まで期間を延長した。それでも菅首相は「人流は減った」と、いつもの“ごはん論法”でかわそうとする。

自分の政策は間違っていない、批判はあたらないと、強気一辺倒なのだ。それなら初志を貫けばいいのに、あっさり変更する。頑固一徹なのか、脆いのか。これまでも変更を繰り返し、そのたび「申し訳ない」と、謝罪の言葉を乱発してきた。

例えば1月7日、首都圏1都3県へ2回目の緊急事態宣言を決めたさいの記者会見で「1カ月で何としても感染拡大を防止したい」と言いながら、2月2日には「3月7日まで、1か月延長」に変更、「誠に申し訳なく思っております」と謝罪した。

全面解除を決めたのは結局、3月18日。そのとき「再び宣言を出すことがないように対策をしっかりやるのが、私の責務だ」と、固い決意を示したものの、4月23日、またしても4都府県への緊急事態宣言を決定。「再び多くの皆さまにご迷惑をおかけする。心からおわび申し上げる」。

さらに、5月7日、4都府県に出していた緊急事態宣言の延長と、福岡、愛知両県への追加発出を決めたさい。「引き続き御負担をおかけする皆様に深くおわびを申し上げます」。

謝罪もこう軽々しいと、何もかも信用できなくなる。時短要請の最中、官僚や政治家が多人数で夜の会食に及んでいたというお粗末もあって、とうとう人々は「仏の顔も三度」とばかりに怒り爆発、自粛をゆるめて街に繰り出した。

おりから、世界で変異株が猛威をふるい、水際対策の不徹底をついて、英国型が関西に上陸。大阪では100万人あたりの新規死亡者数がインドを上回る事態になった。インドの悲惨な状況は周知の通りだ。

入院すらできず自宅や施設で亡くなる人が続出する医療崩壊のさまは、経済とコロナ対策の両立を言い募る菅政権と経団連に、冷厳な現実を突きつける。

菅首相が期待を寄せるのはワクチンだ。「私たちが安心した日常を取り戻せるかどうかは、いかに多くの方にワクチン接種ができるかにかかっている…私自身が先頭に立って、ワクチン接種の加速化を実行に移します」(5月7日記者会見)

従来型や英国型にワクチンがかなり有効であるのは確かだろう。筆者が心配するのは、インド型が蔓延し、やがて主流になるのではないか、いやもっと厄介な変異株が生まれるかもしれないということだ。

インド型は、ウイルスのスパイクタンパク質に、「L452R」と「E484Q」という2つの変異が見られるのが特徴で、日本人の6割は免疫力が働きにくいとされる。マスクをしていても感染することがあるという。英国型と同じく、若者でも重症化しやすく、死亡率が高い。

おまけに、ワクチンの効果が半減するという報告もある。変異のリスクは感染拡大が長引くほど高まる。だからこそ、ワクチン接種はできるだけ早く進めなければならないのだ。

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