精巣ガンの危険も。医師が男児の「プライベートゾーン」検診を勧める訳

2021.05.13
by 吉里時雄
 

さて、外国ではどうなっているか目を転じてみました。米国での児童生徒期の健診マニュアルでは、外陰部の診察は必須の診察項目に入っています。私は、三十数年前に世界的に有名な米国ミネソタ州のメイヨークリニックへの留学の機会があり、研修前に健康診断を受けました。全裸で薄いガウン一枚を着て、「プライベートゾーン」も診察して頂きました。さすが世界一流の病院だと感服しました。

同様の話は、大リーグでプレーした元投手の上原浩治氏が自身のYouTubeチャンネルで、ロッテから海外FAを宣言した巨人時代の元同僚、沢村拓一投手に対し、大リーグの健康診断にまつわる衝撃的な事実として紹介しています。ヘルニアの有無を見定める為、やはり全裸で薄いガウン一枚を着て医師から下半身を触診されるという内容です。このような丁寧な診察は、米国人にとっては衝撃的な事ではなく、通常の身体診察に含まれているのです。日本での健診での身体診察でもプライベートゾーンの診察を必須項目とすべきと思われます。

さて、私の学校医としての最終年度に行なった健診で停留精巣が見つかり、無事に手術を終えて、当クリニックにその旨を伝えに来院された母子がいました。母親が言われたのは「この子は、睾丸が1つしかないのは本人が分かっていたけど、もともとタマは1つかしかないと思っていた様です」でした。

そこで私から提案があります。日本の学校健診でプライベートゾーンの診察が必須項目に指定されるまでの間、家庭で子供に問診を行うことです。健診前の保護者に対する予診票が学校から届いたとき、皆さんの御子息に対して「睾丸が2つあるか」、「立ってお腹に力を入れると大腿のつけ根の部分が盛り上がる」ことを確認することです。これらが気になるということでしたら、予診票にその由を記載してください。そのような記載があれは、必須項目でなくても、健診医は診察をすることになるからです。

image by: Shutterstock.com

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