しかも、日本の場合には、1994年に高齢社会(65歳以上の人口が14%以上)になったときには1人あたりのGDPが約4万ドルでしたが、2025年に高齢社会になると見込まれる中国では、まだ1人あたりGDPが1万ドルをようやく超えたくらいです。そのため中国では「未豊先老」(豊かになる前に老いてしまう)の社会が到来するとよく言われています。
これまで、2030年ごろに中国がアメリカのGDPを抜いて世界一になると予測されてきましたが、最近は、一度はアメリカを抜くものの、再びアメリカに抜き返されるという予測も出てきました。それどころか、ロンドンの経済調査会社キャピタル・エコノミクスなどは、もうアメリカを超えられないという分析を発表しています。
すでに格差社会が広がっている中国では、経済的問題で2人目を積極的に生もうとする夫婦はじつに少ないのが現状です。しかも中国では教育費が非常に多くかかります。10年ほど前の2011年の数字ですが、教育費が総支出の44%を占めています。
そのため中国では今年に入って、個別指導の学習塾の週末授業の禁止など、規制強化に動いています。教育費の高騰が出生率の低下につながっていると思われるからです。
● 中国、教育産業への規制強化 生徒と家計の負担軽減=関係筋
とはいえ、いくら「一人っ子政策」「3人の子供でもいい」と規定したところで、中国人にとっては関係ないことです。一人っ子政策が行われていても、中国は毛沢東時代の8~9億人から14億人まで増えました。逆に、いくら子供を増やそうと煽っても、増えることはないでしょう。中国の少子高齢化は日本以上のペースで進んでいます。
加えて、中国が心配するのは漢民族の減少であって、他の少数民族については相変わらず、事実上の断種政策を行っています。
一人っ子政策が廃止されて以降、全国的に不妊手術が減少していますが、新疆ウイグルでは逆に突出して延びているのです。
中国衛生健康統計年鑑によると、同自治区で行われた卵管を縛る手術は、14年から18年の間に3,139件から5万9,499件と19倍に増えています。中国政府はこれまで、新疆ウイグルの人口は増えているとしてきましたが、西日本新聞が報じた2020年の新疆統計年鑑によると、2019年の出生率は2017年の15.88からほぼ半減の8.14となったことが明らかになっており、ウイグルで人口抑制政策が行われていることが判明しています。
● 【独自】新疆ウイグル出生率2年で半減 中国統計入手、不妊処置が急増
多民族国家であるアメリカでは、1960年に約89%だった白人の割合が2010年には64%にまで下がり、2050年には44%と少数派になると見込まれています。90年で半分の割合にまで低下するわけです。近年は「ブラック・ライブズ・マター」など、人種問題で国が大きく揺れてきました。
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