休日になると、永年忠勤の運転手さんの運転で近郊の緑地あちこちに私たち家族を連れていってくれました。私は家族一緒のただ楽しい一日でしたが、関東大震災の後、東京が過密化する中で、各所に広い緑地を備えて非常時に住民の安全を確保しなくてはいけないと主張していた父にとっては、実はこれも仕事の調査だったのだと思います。空き地の周囲を私たちが何歩歩いたかを数え、距離や面積を計測したりもしていました。
祖父がそうだったように、我が家も父の出勤前から父を訪ねてくる方たちがいました。父はそういう人たちを励ましたり、時には諫めたりして親身になって相談に乗っていましたが、公に尽くす祖父の生き方を見習って、広い視野で利他の生き方を、図らずも私たちに背中で見せてくれていたのです。
(本記事は『致知』2018年11月号 特集「自己を丹誠する」より一部を抜粋・編集したものです)
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