新興宗教を笑えぬ。日本に“非常識”を蔓延させる「企業教」という病

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日本を代表する大企業は、「洗脳」の技にも長けているのでしょうか、それとも常識のない人間であっても採用するのでしょうか。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では著者で評論家の佐高信さんが、とある読者からの手紙にしたためられていた、誰でもが名を知る大手メーカーの社員による耳を疑うような言動を紹介。その上で、日本中に非常識を蔓延させる「企業教」を痛烈に批判しています。

※本記事は有料メルマガ『佐高信の筆刀両断』2021年6月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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企業教信者の非常識

『朝日新聞』に山藤章二描く似顔絵付きで「新・会社考」を連載していたころにもらった手紙が忘れられない。

中小企業に勤めている女性からだった。彼女が20歳の時、仕事で大阪に行くことになって東京駅から新幹線の自由席に乗った。発車間際に30代と50代と思しき男性2人が飛び込んできて、キョロキョロと周囲を見ている。そうしながら、50代の男が30代の男を怒鳴りつけているのである。多分、手違いで指定席が取れず、自由席にやってきたのだろう。そのうち、30代の男が彼女のそばに来て、「うちの部長が疲れているとおっしゃっているので、席を譲っていただけませんか」と言った。えっと思ったら、真剣に頼んでいる。「冗談じゃない」と彼女は怒りをこめて返した。「私は老人とか病人に席を譲る気持ちはありますが、どこのおじさんかわからない人に席を譲る気持ちはありません」

「おじさん」を「オッサン」に脚色して講演で話したら、満場爆笑だった。彼女の答に30代の男は納得できない顔をして去り、隣の人に同じことを頼んでいたという。しかし、その車両で誰も席を譲らなかった。当然だろう。

その頼みがおかしいことがわからないのかと不思議だったが、日本の会社の非常識さを具体的に書いた「新・会社考」を読んで、その謎が解けたと、彼女は手紙に書いていた。

手紙には続きがある。その2人の背広のフラワーホール(昔、花を飾っていたという名残りの穴)には、電器屋でよく見かける社章がついていた。つまり、東芝か日立か松下(現パナソニック)ということだろう。入社の時に、それらの会社では一般常識の試験はしないのか、と彼女は思った。

大体、自分の会社の人間に敬語を使うとは何事か!「うちの部長が疲れているとおっしゃっているので…」というあたりから、もう非常識である。日本人には宗教がないと言われるが、企業教があると私は反論してきた。日立教であり、東芝教であり、パナソニック教である。

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